独化学大手BASFのマルティン・ブルーダーミュラー社長は4月29日の株主総会で、ロシア産天然ガスの輸入禁止措置に踏み切らないよう政府などに強く促した。ロシアへのエネルギー依存から可能な限り早く脱却することを目指すことは重要だとしながらも、同国からの天然ガス供給が一夜にして止まると、ドイツ経済は取り返しのつかない打撃を受けると指摘。同社のルートヴィヒスハーフェン本社工場の操業停止も起こり得るとしている。
同日発表した2022年1-3月期(第1四半期)決算の営業利益(EBIT、特別項目を除く)は前年同期比21.4%増の28億1,800万ユーロへと拡大した。ケミカル(石油化学、中間体)部門が46.5%増、産業ソリューション(ディスパージョン&顔料、パフォーマンスケミカルズ)部門が30.9%増と特に好調だった。表面技術(触媒、コーティング剤)部門は自動車業界からの需要減が響き26.0%減少した。
売上高も19.0%増の230億8,300万ユーロと大きく伸びた。販売価格の引き上げと為替差益で水準が押し上げられた。値上げ幅は特にケミカルとマテリアル(機能性材料、モノマー)部門で大きかった。
純利益は28.9%減の12億2,100万ユーロへと大幅に縮小した。ロシアのウクライナ侵攻を受け、石油・天然ガス子会社ヴィンタースハル・デーエーアーがガスパイプライン「ノルドストリーム2(NS2)」向けの融資を全額減損処理したことが響いた。