電機大手の独シーメンスは10日、三菱電機の欧州法人、三菱電機ヨーロッパと基本合意書を締結したと発表した。三菱電機のSiCパワー半導体モジュールをシーメンスの鉄道車両に搭載。車両の省エネ化を図る。
欧州連合(EU)は2050年までの炭素中立実現を目指しており、中間目標として30年までに温室効果ガスの排出量を1990年比で55%削減する計画だ。シーメンスはこれを踏まえ、三菱電機からSiCパワー半導体モジュールを調達する。
SiC半導体はシリコン (Si) と炭素 (C) で作られる化合物半導体。従来のシリコン半導体に比べ電力消費量と発熱によるエネルギー損失が少ないことから、車両の走行距離を拡大できる。冷却装置を小型化できることから車両の軽量化にもつながる。
シーメンスは三菱電機製のSiCパワー半導体モジュールを、円筒を押し付けて動力を伝達する駆動装置であるトラクションドライブに投入。トランクアクション・インバーターの省エネと小型化を実現する。従来のシリコンパワー半導体モジュールに比べ、インバーター稼働時のエネルギーロスを約75%低減できるという。三菱電機が鉄道向けに生産する定格電圧3,300ボルトのフルSiCパワーモジュールを高く評価している。