電機大手の独シーメンスは12日、ロシア事業を停止すると発表した。ロシアのウクライナ侵攻を受け、ロシアの新規事業と同国への輸出はすでに停止していたが、対露制裁の強化を受け同国事業の継続が難しくなったことから、今回の措置を決めた。これに伴い、2022年1-3月期(第2四半期)の産業分野の税引き前利益(EBT)が6億ユーロ押し下げられた。主に鉄道部門が影響を受けている。
同社はロシアに輸出した鉄道車両・インフラ向けにメンテナンスなどのサービスを戦争開始後も行ってきた。だが、制裁の強化で例えば潤滑油が輸出できなくなるなど、サービス継続に必要な物資の確保が難しくなってきたことから、現地事業の停止に踏み切る。シーメンスが65%出資する医療機器子会社ヘルシニアーズは同国事業を継続する。
シーメンスのロシア事業の売上高は10億ユーロで、雇用規模は3,000人。現地従業員に対しては最大限の支援を行うとしている。
同日発表した1-3月期決算の産業分野のEBTは17億7,700万ユーロとなり、前年同期を13%下回った。鉄道部門が2億500万ユーロの黒字から3億6,900万ユーロの赤字に転落したことが響いた。他の部門は増益を確保している。
純利益は54%減の10億3,400万ユーロと大きく落ち込んだ。ロシア事業凍結のほか、比較対象の21年1-3月期は機械駆動装置子会社フレンダーの売却で水準が押し上げられており、その反動が出たことが響いた。
売上高は16%増の170億4,000万ユーロ、新規受注高は32%増の209億7,800万ユーロだった。