高級乗用車大手の独メルセデスベンツは19日の投資家説明会で、同社のモデルを高級度に応じて3段階に区分したうえで、上位段階のモデルを重点強化する方針を打ち出した。市場環境が悪化しても高い収益力を安定的に維持できるようにする狙い。オラ・ケレニウス社長は「世界で最も羨望される車を造る」と意欲を示した。
メルセデスが導入する3段階の区分は最高級の「トップエンド・ラグジャリー」、販売規模が最も多い「コア・ラグジャリー」、同社のなかでは価格が最も低い「エントリー・ラグジャリー」からなる。
トップエンド・ラグジャリーにはAMG、マイバッハ、電気自動車(BEV)「メルセデスEQ」の最上位モデル(EQSセダン、EQS SUV)、メルセデス「Sクラス」「Gクラス」「GLK」、および限定モデルと高級コラボ車両が含まれる。コア・ラグジャリーは「Cクラス」「Eクラス」およびその派生モデル。中国市場に導入する「EVA2」車台ベースのモデルもこの区分に入る。
エントリー・ラグジャリーについてはモデルバリエーションを現在の7種類から4種類に削減するとともに、技術水準を引き上げ、グレードアップを図る。高価格化すると目されている。
投資額に関しては75%以上をトップエンド・ラグジャリーとコア・ラグジャリーに振り向ける。利益幅が特に大きいトップエンド・ラグジャリーでは販売台数を2026年までに約60%増やす計画だ。
これらの措置を通して、売上高営業利益率を通常の市場環境下で約12%確保できるようにする。好調時には約14%を実現。最悪の環境下でも約8%を保つ。予測できない地政学的・経済的リスクや原料の価格高騰などは加味しておらず、深刻な危機が発生した場合は利益率目標を達成できない可能性があるとしている。