エネルギー設備大手の独シーメンス・エナジーは21日、風力発電機子会社ガメサの完全買収と上場廃止方針を発表した。ガメサは業績の足かせとなっていることから、自らに統合して抜本的な再建を進める考えだ。
ガメサはスペインに本社を置く子会社で、シーメンス・エナジーは株式67.1%を持つ。ガメサは陸上風力発電機事業のコスト膨張や生産トラブルなどの問題を抱える。シーメンス・エナジーは役員の入れ替えなどを通して業績改善に努めてきたが、成果が出ておらず、完全子会社化の観測は以前から出ていた。
こうした問題を解決するため、株式公開買い付け(TOB)を実施し、完全傘下に収める。買収提示額は1株当たり18.05ユーロ。これはTOB観測報道が出る前日(17日)の終値を27.7%上回る水準。全株式を取得した場合の費用は25億ユーロに上る。
シーメンス・エナジーはガメサを統合することで、組織構造を簡素化するとともに、生産、サプライチェーン、顧客・プロジェクト管理を一元化。統合後3年以内にコストを最大で年3億ユーロ圧縮する。売上面でも30年までに数億ユーロの相乗効果を見込む。
シーメンス・エナジーの1-3月期の純損益は2億5,200万ユーロの赤字となり、前年同期の黒字(3,100万ユーロ)から大幅に悪化した。ガメサの不振が響いた。