エネルギー大手の独RWEは2日、スウェーデン同業のバッテンフォールがオランダ北部のエームスハーヴェンで運営する天然ガス発電所「マグナム」を譲り受けることで合意したと発表した。RWEは同地に持つ既存の発電所や新設予定のグリーン水素製造施設などと組み合わせエームスハーヴェン拠点でカーボンネガティブ(温室効果ガスの吸収量が排出量を上回る状態)を実現。北西ヨーロッパ有数のエネルギー・水素ハブとする意向だ。
マグナムは2013年に稼働を開始した発電所で、発電容量は1.4ギガワット(GW)に上る。燃料に水素を最大30%混合できる。RWEは30年までに100%水素で発電する施設へと改修することを視野に入れている。
RWEはマグナムの敷地内にあるメガソーラー(5.6メガワット=MW)を含めて同発電所を取得する。取引対象の資産価値を5億ユーロと評価して買収を行う。9月末までの取引完了を見込む。
同社はエームスハーヴェンで石炭とバイオマスを燃料する発電所を運営している。発電容量は1.6GW。同地ではまた、洋上風力発電の電力を用いてグリーン水素を製造する「エームスハイドロジェン」プロジェクトを20年から進めている。
RWEはさらに、オランダ西海岸の沖合およそ53キロの海域に同国政府が設置予定の洋上風力発電パーク「ホランセ・クスト・ウェスト(HKW)」に絡んでもグリーン水素の製造を計画している。同パークは「サイトⅥ」と「サイトⅦ」の2海域で構成。発電容量はそれぞれ700MWで、蘭政府は近く、入札を行う。RWEはサイトⅦに600MW級のグリーン水素製造装置を設置する計画だ。エームスハイドロジェンとサイトⅦのプロジェクトで生産したグリーン水素を発電に投じる考えとみられる。
カーボンネガティブの実現に向けては、オランダの北海海域にある旧天然ガス田に期待をかけている。エームスハーヴェンの発電所で排出される二酸化炭素(CO2)を旧ガス田の空洞に貯留(CCS)する考え。実現には蘭政府の支援が必要だとしている。
エームスハーヴェン港では蘭エネルギー大手ガスニーがLNG(液化天然ガス)ターミナルの建設計画を進めている。RWEは自社の発電所から同ターミナルへの排熱供給実現にも意欲を示す。