ロシア国営天然ガス会社ガスプロムは13日、パイプライン「ノルドストリーム1」を通した欧州向けのガス供給量が減少していることを、メッセンジャーアプリ「テレグラム」への投稿で明らかにした。シーメンスに委託したガスコンプレッサー部品の修理が遅れているため、1日当たりの輸送可能量が容量(1億6,700万立方メートル)の60%の1億立方メートルにとどまるとしている。独経済・気候省はこれを受け14日、「状況を注視し、事実関係を調べている。現時点で安定供給は保たれている」との声明を出した。
ノルドストリーム1はロシア産天然ガスをバルト海経由でドイツに輸送するパイプライン。全長1,200キロメートルで、2011年に開通した。ロシアのウクライナ侵攻を受けてドイツ政府が認証を停止したパイプライン「ノルドストリーム2」と並行したルートを通っている。
シーメンスはエネルギー事業から撤退しているため、ガスプロムが「シーメンス」と名指しした企業は、同社から分離・独立したエネルギー設備大手のシーメンス・エナジーを指す。
シーメンス・エナジーはメディアの問い合わせに、コンプレッサー用のタービンをガスプロムに引き渡せないことが原因であることを明らかにした。同社によると、タービンのオーバーホールは技術上に理由からカナダでしか行えないが、カナダの対露制裁を受けて修理したタービンをロシアに輸送できなくなっている。解決策の見つけるため、カナダ政府およびドイツ政府と緊密に連絡を取っているという。