ドイツ銀が口座管理手数料引き下げへ、欧州中銀の利上げ予告受け

独銀最大手のドイツ銀行がリテール顧客から徴収している口座管理手数料を引き下げる意向だ。欧州中央銀行(ECB)の利上げ予告を受けたもので、利上げ幅に合わせて振替口座などの手数料の料率を引き下げていく。ECBが中銀預金金利を0%以上に設定した場合は手数料自体を廃止する意向だ。同行の確認を得た情報として各種メディアが13日、報じた。

ECBは13日の定例政策理事会で主要政策金利を7月に0.25ポイント引き上げることを決議した。市中銀行が手元資金をECBに預け入れる際の金利である中銀預金金利はマイナス0.5%からマイナス0.25%へと上昇することになる。9月にはさらに0.25ポイント以上、引き上げることを示唆しており、2014年6月から続く中銀預金金利のマイナス設定は解消される見通しだ。

中銀預金金利のマイナス化を受け、多くの金融機関が顧客の預金にマイナス金利を適用し、口座管理手数料の名目で徴収するようになった。ドイツ銀もリテール顧客を対象とする同手数料を20年5月に導入。預金残高5万ユーロ以上の振替口座、同2万5,000ユーロ以上のコール預金口座になどマイナス金利を適用してきた。

同行の広報担当者はメディアの問い合わせに、中銀預金金利が予告通り0.25ポイント引き上げられれば、ドイツ銀も口座管理手数料の料率を0.25ポイント縮小すると回答。中銀預金金利が0%以上になれば、同手数料の徴収を止めると言い切った。傘下ブランドのポストバンクでも同様の措置を取る。

ドイツの大手銀行のなかでは、蘭INGグループの独法人ING-DiBaが口座管理手数料を7月1日付でほぼ全面廃止する方針を他行に先立ち表明した。コメルツ銀行は態度を明らかにしていないものの、マンフレート・クノーフ頭取は5月中旬、「ECBが反応すれば、わが行も速やかに反応する」と述べ、ECBの歩調に合わせて口座管理手数料の料率を引き下げる意向を表明している。

金融商品比較サイトのビアロによると、ドイツでは現在、計582行がリテール顧客にマイナス金利を適用している。

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