ガス管用タービン、カナダがロシアに返還へ

カナダ政府は対ロシア制裁の一環で現在、自国に留め置いているガス管「ノルドストリーム1(NS1)」用のタービンをロシアに引き渡す考えだ。複数の交渉関係者の情報としてロイター通信が7日、報じ、同国政府が追認した。NS1の天然ガス供給が少ないとドイツは国内需要を賄えなくなる恐れがあることから、独政府はタービン返送をカナダ政府に働きかけてきた経緯がある。

ロシア国営ガス会社ガスプロムは6月中旬、NS1の供給量を容量の40%へと削減した。供給量が現在の水準にとどまると、ドイツはガス需要が大幅に増える冬季に向けて進めている備蓄の目標を達成できなくなる懸念があることから、政府は国内供給不足に対応するための警戒レベルを引き上げた。

ガスプロムは独シーメンス・エナジーに委託したタービンのメンテナンスが遅れているという技術的な理由からガス供給量を減らさざるを得なくなったと説明している。

シーメンス・エナジーは同タービンのメンテナンスをカナダのモントリオールで行った。だが、カナダ政府が露石油・ガス産業への制裁を発動したことから、ロシアに送り返せなくなっている。

これに絡んでドイツのロベルト・ハーベック経済・気候相は7日ブルームバーグ通信に、タービンをロシアでなくドイツに輸送することで同制裁への抵触を回避するという解決策を述べた。ドイツ経由でロシアに運ぶ考えだ。

NS1はメンテナンスを理由に11日から稼働が全面停止された。期間は10日と予告されているものの、欧州への圧力を高めるためロシアが意図的に再稼働を見合わせる可能性は排除できない。ハーベック氏はこれを念頭に7日、タービンをロシアに送り戻せば、技術的な理由でガスを輸送できないという口実が使えなくなると述べた。

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