ドイツ連邦統計局が13日発表した6月の消費者物価指数(確定値)は前年同月比7.6%増となり、これまでに引き続き大きく上昇したものの、上げ幅は前月(7.9%)をやや下回った。高インフレの直撃を受ける市民の負担軽減策が同月から実施されたことが大きい。同軽減策がなければインフレ率は8.6%に達していた。
政府は負担軽減策として、自動車燃料税を引き下げたほか、近距離公共交通機関を月9ユーロで利用できる「9ユーロチケット」を導入した。この効果で、交通費の上げ幅は前月の16.3%から8.3%へとほぼ半減。鉄道料金は45.1%、鉄道やバス、市電を利用できる複合乗車券は63.3%低下した。自動車燃料は33.2%上昇したものの、上げ幅は前月の41.0%から縮小した。
エネルギーの上昇率は38.0%となり、前月の38.3%からやや低下した。自動車燃料税が軽減されたことが大きい。税軽減の対象となっていない家庭用エネルギーは前月の36.8%から40.7%へと拡大した。上げ幅は灯油で108.5%、天然ガスで60.7%、電力で22.0%に上った。エネルギーを除いたインフレ率は4.2%で、前月を0.3ポイント下回った。
食料品の上げ幅は12.7%に上った。ひまわり油の主要産地であるウクライナが戦場となったことから、食用油脂の価格は43.1%上昇。食肉・肉製品は同18.9%、乳製品・卵は15.3%、パン・穀物製品は12.5%高くなった。エネルギーと食料品を除いた基礎インフレ率は3.2%で、前月を06ポイント下回っている。
サービスは2.1%で、前月の2.9%から大きく縮小した。9ユーロチケットの導入で上昇率が押し下げられた。電気通信は0.9%低下している。住宅修理は12.4%、自動車修理は6.4%上昇した。
前月比のインフレ率は0.1%となり、前月の0.9%から大幅に縮小した。負担軽減策が奏功。乗車料金は6.2%、自動車燃料は3.9%低下した。
欧州連合(EU)基準のインフレ率は前年同月比が8.2%、前月比がマイナス0.1%だった。