5Gインフラから華為技術排除も、露のガス供給削減受け独裁国への警戒強まる

ドイツ政府は国内の5G通信インフラから中国メーカー華為技術の製品を排除できるようにする考えだ。内務省の情報として経済紙『ハンデルスブラット(HB)』が25日付で報じた。

中国の通信設備メーカーは5G分野で先行しているものの、製品に組み込んだ部品などを通してスパイ活動を行っているとの批判を受けている。特に華為は非公開企業で事業活動に不透明な部分が多いことから中国政府・軍との関係が深いとみられており、米国政府は5G通信網から華為製品を全面的に締め出すことを友好国に要求。オーストラリアや英国、フランスなど複数の国はすでに同社製品を用いないことを決定した。

ドイツでもこれを念頭に昨年、ITセキュリティ法2.0(正式名称:情報技術システムの安全性向上のための第2法)が施行された。通信網など社会・経済システムを維持するうえで重要なインフラに用いる主要部品のセキュリティ上の安全性を国が審査するルールの導入が最大の柱。名指しはしていないものの、セキュリティ上の懸念が持たれる華為など中国メーカーの製品を実質的に排除できるようにすることをと狙っている。

内務省は同法を根拠に5G通信インフラから華為製品を排除できるようにする考えのようだ。HB紙によると、政府は中国メーカーが製造した重要部品を使用しないよう通信会社に命じる可能性がある。すでに投入した部品であっても使用禁止の対象となる。

同法では重要インフラを電子的なスパイ活動や破壊工作から守るために設備・部品の認証を義務付けるだけでなく、製造元の信頼性も重視するという二重の認可手続きが採用されている。このため政府は華為の部品に違法性が確認されない場合でも、同社の信頼性が足りないと判断した場合は部品の使用を禁止する可能性がある。中国メーカーは自国の情報機関への協力を法律で義務付けられているという事情が背景にある。

与党・自由民主党(FDP)のコンスタンティン・クーレ副院内総務は同紙に、「華為技術のドイツでの活動が中国の影響力に対して持つ地政学的な意味を認識しないのは世間知らずでナイーブだ」と明言した。天然ガスの供給でロシアに強く依存するこれまでの政策が現在、大きな危機をもたらしていることを踏まえ、独裁国家に付け入る隙を与えないようにする考えだ。

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