ガス備蓄80%を突破、ノルウェーがロシア抜き最大の輸入先国に

ドイツ国内の天然ガス備蓄率が21日時点で80.14%に達したことが、連邦ネットワーク庁が23日に発表した日報で分かった。ガス会社は最大の調達先だったロシアが供給量を大幅に減らしたり、市場価格が高騰するなど厳しい環境に置かれているものの、国内安定供給の確保に向け調達を積極的に進めている。

同国ではロシア産ガスの供給が削減されたり、途絶える可能性を見据え、今春にガス備蓄制度が導入された。同制度はその後、強化。現行ルールでは貯蔵施設に対し9月1日時点で毎年、容量の75%以上、暖房シーズンが始まる10月1日時点で85%以上、11月1日時点で95%以上の貯蔵を義務付けている。

ガス各社はこれを受けて貯蔵量を拡大しており、12日には全体で75.43%を記録。75%ラインを超えた。現在のペースで備蓄が増えていけば、国内全体の備蓄率は11月1日までに95%に達する見通しだ。

国内のガスパイプライン運営会社が出資するトレーディング・ハブ・ヨーロッパ(THE)の役員は『ライニッシェ・ポスト』紙に、国内の個々の地域でガス不足が発生する可能性はあるものの、全国的な規模に発展することはないと断言。「一般世帯が今冬に寒さで震えることはない」との見方を示した。住宅は病院などと同様、優先的にガスの供給を受けることができる。

ロシアは現在、バルト海経由のガス管「ノルドストリーム1」の供給量を容量の20%に制限している。31日から9月2日にかけてはメンテナンスを理由に供給を停止すると予告。ウクライナに軍事侵攻した同国に制裁を科す欧州連合(EU)に揺さぶりをかけている。

ドイツはこうした措置に対応できるようにするため、ガス調達先の多様化を急ぎ足で推進している。その効果もあり、国内消費に占めるロシア産の割合は7月に10%となり、戦争が勃発した2月の37%から大幅に低下した。8月は9.5%にとどまっている。

一方、ノルウェー産の割合は28%から38%に拡大。オランダ産も20%から24%に増えた。今年末~来年初頭にかけてはドイツ初のLNG(液化天然ガス)受け入れ施設が稼働を開始することから、ロシア産への依存度は一段と低下する見通しだ。

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