トイレットペーパーで有名なハクレ(Hakle)が民事再生手続きの適用をデュッセルドルフ区裁判所から受けた。エネルギーなどのコストが大幅に増え経営が危機的な状況に陥っている。靴販売チェーンのゲルツ(Goertz)も6日、インフレ高進に伴う販売減を受け、ハンブルク区裁判所に民事再生手続きの適用を申請した。両社とも経営陣が主導権を保持しながら再建を進める意向だ。
ハクレはコロナ禍が発生した2020年以降、業績が低迷。ロシアのウクライナ侵攻で天然ガス、電力価格が高騰したため、経営が悪化した。ドイツでは小売店の価格交渉力が強く、コスト上昇分を部分的にしか転嫁できないことから、資金繰りが厳しくなった。
ゲルツは1875年創業の老舗販売店。コロナ規制の影響で20年に売り上げが20%以上落ち込み、21年には国の経済安定化基金から2,800万ユーロ強の資金注入を受けた。高インフレとガス・電力価格の高騰で消費者が出費を強く抑制していることから、販売が大きく落ち込んでいる。
両社の従業員に対しては連邦雇用庁(BA)が9月から11月までの3カ月間、給与を肩代わりで支給する。このため11月末まではこれまで通り、営業を続けることができる。経営陣はその間に再建のめどをつける考えだ。