ドイツ連邦統計局が13日発表した8月の消費者物価指数は前年同月比で7.9%上昇し、上げ幅は3カ月ぶりに拡大へと転じた。政府の家計負担軽減策の効果で上昇率は押し下げられたものの、エネルギー価格の高騰、サプライチェーンのひっ迫、川上の物価高騰を背景に食料品などへの価格転嫁が進んだことが大きい。
エネルギーの上げ幅は35.6%で、前月(35.7%)と同水準となった。自動車燃料税の時限引き下げ効果で同燃料は前月の23.0%から16.5%へと下がった。灯油は111.5%、天然ガスは83.8%と大幅に上がっている。電力は16.6%だった。
エネルギーを除いたインフレ率は4.7%で、前月の4.4%を上回った。価格転嫁が広がっていることがうかがわれる。
交通費の上昇率は月9ユーロで全国の近距離公共交通機関を利用できる定期券の効果で前月の5.4%から3.7%に低下した。9ユーロ定期券導入直前の5月は同16.3%に上っていた。
食料品の上げ幅は前月を1.8ポイント上回る16.6%となり、6カ月連続で拡大した。食用油脂は44.5%、乳製品・卵は26.8%、食肉・肉製品は18.6%、パン・穀物製品は17.1%だった。エネルギーと食料品を除いた基礎インフレ率は3.5%(前月3.2%)となっている。
サービスの上げ幅は前月の2.0%から2.2%に拡大したものの、比較的小さかった。9ユーロ定期券が奏功。近距離鉄道料金は前年同月を43.9%下回った。
上げ幅が大きかったのは住宅修理・メンテナンス分野で14.4%に上った。コロナ規制が大幅に緩和されたことからパック旅行(12.5%)と宿泊・飲食(8.3%)も大きく上がった。
前月比のインフレ率は0.3%だった。食料品は同1.5%。エネルギーでは家庭用エネルギーが2.6%上昇したのに対し、自動車燃料は4.4%低下した。天然ガスは5.4%上がった。
欧州連合(EU)基準のインフレ率は前年同月比が8.8%、前月比が0.4%だった。