UAEからテスト輸送のアンモニア、ハンブルク港に到着

独経済省は15日、アラブ首長国連邦(UAE)からテスト輸送されたアンモニアがハンブルク港に到着したと発表した。水素分野の両国のパートナーシップに基づき、アンモニアがUAEから初めてドイツに輸出された。水素は燃焼時に二酸化炭素(CO2)を排出しないことから、ドイツは脱炭素化に向け化石燃料を水素系燃料に置き換えていく意向だ。

両国は2017年、エネルギーパートナーシップを締結し、水素、再生可能エネルギー分野で協力することで合意した。21年11月には水素と合成燃料のタスクフォースを設置。今年3月にはドイツのロベルト・ハーベック経済・気候相がUAEを訪問し、(1)常温・常圧での安全な水素輸送を可能にする液体有機水素キャリア(LOHC)プロジェクト(2)水素と水素誘導体の輸送実現に向け化石燃料ベースの「ブルーアンモニア」(アンモニアは水素誘導体の1つ)を現地のアブダビ国営石油(ADNOC)が独企業(精銅大手アウルビス、エネルギー大手RWE、シュテアグ、GEWEC)向けにテスト輸送するプロジェクト(3)数年後のグリーン水素輸入実現に向けブルーアンモニアをADNOCが独ハンブルク港運営会社HHLA向けにテスト輸送するプロジェクト(4)独シーメンス・エナジーやルフトハンザ、UAEの再生エネ会社マスダールが合成航空燃料を製造するプロジェクト「グリーン・ファルコン」――が取り決められた。

今回のアンモニア輸送は(2)のプロジェクトで、アンモニアはアウルビスが炭素中立の銅線生産テストに投入することになっている。

独政府は国内の水素需要が2030年に90~110テラワット時(TWh)に拡大すると予想している。国内の水素生産能力は限られることから、輸入を積極的に活用する方針。すでに多くの国とパートナーシップを結んでいる。

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