医薬品開発を手がける独スタートアップ企業ベルリン・キュアズが投資家からの資金調達に成功した。ロングコビット(新型コロナウイルス感染の後遺症)の効果的な治療薬として期待されている同社の作用物質の治験に投入する意向だ。ウルフ・ベルク社長などへの取材をもとに17日付『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が報じた。
ベルリン・キュアズは2014年の設立。開発中の心臓病治療薬「BC007」を独エアランゲン市にある病院で昨年夏、59歳のロングコビット患者に投与したところ、血中の自己抗体(外部から侵入した細菌やウイルスでなく患者自身の細胞や組織を攻撃する抗体)が急速に減少したうえ、循環障害もなくなった。集中力の低下と慢性疲労の症状はわずか3日の入院後、完全になくなっていた。
同社はこれを受けて、治験の第2段階に当たるフェーズ2を行う。当局の承認が得た後、開発業務受託機関(CRO)にフェーズ2を委託する。委託先は明らかにしていない。
フェーズ2の結果は来年8~12月に出る見通し。順調に行けば治験の最終段階であるフェーズ3を経て、最速で来年末にも市場投入できる。
世界需要は極めて大きいと予想されることから、生産・販売では大手製薬メーカーと手を組む意向だ。ライセンス契約からパートナーシップ、身売りまでと幅広い選択肢を視野に入れている。
ロングコビットは新型コロナ感染からの回復後に発症する後遺症で、感染者の8人に1人が該当する。少なく見積もっても欧州だけで1,700万人に上る。