ドイツ連邦統計局が29日に発表した11月の消費者物価指数(速報値)は前年同月比10.0%増となり、これまでに引き続き大きく上昇したものの、上げ幅は前月の10.4%から縮小した。インフレ率の低下は4カ月ぶり。最大の物価押し上げ要因であるエネルギーの上昇率が43.0%から38.4%へと低下したことが大きい。ベーレンベルク銀行のチーフエコノミストは『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に、「幸運にもインフレはピークを越えた」と述べた。
ロシアのウクライナ進攻を受け、欧州では物価が高騰している。ドイツでは自動車燃料税の引き下げなど世帯支援策の一環で導入された時限措置の終了直後の9月にインフレ率が10%へと大幅に上昇。10月にはさらに0.4ポイント高まっていた。
ただ、川上の生産者物価はエネルギー価格の大幅下落を受けて10月に前月比4.2%減と大きく低下。エコノミストの間では、インフレ率は近くピークアウトするとの見方が出ていた。
消費者物価の上げ幅が今後さらに鈍るかどうかは定かでない。エネルギーや調達コストの上昇を川下に転嫁する企業の動きは続くと予想されるためだ。11月の食料品価格は前年同月比で21.0%上昇し、上げ幅は前月の同20.3%を上回った。
物価の構成比重が53%に上るサービスの上昇率は3.7%となり、前月を0.3ポイント下回った。
消費者物価は前月比では0.5%低下した。
欧州連合(EU)基準のインフレ率は前年同月比で11.3%となり、前月を0.3ポイント下回った。前月比のインフレ率は1.1%から0.0%へと大幅に低下している。