ドイツ連邦統計局が7日発表した2022年第3四半期(7~9月)の国内発電量(送電網への供給ベース)は1,181億キロワット時(kWh)となり、前年同期を0.5%下回った。原子力発電が大幅に減少し、足を強く引っ張った。
原子力発電は47.8%減と半減したことが大きい。同国は脱原発を進めており、残存6基中3基を昨年末で廃止したことから、今年はすべての四半期で大幅減となっている。
石炭発電は13.3%増と大きく増えた。ロシアのウクライナ進攻後も比較的容易に調達できていることが背景にある。
天然ガスは不足していることから、発電での使用抑制が好ましいものの、隣国フランスの電力不足などを受けて調整電力としての利用が増加。前年同期を4.5%上回った。在来型電力全体では前年同期を3.0%下回る656億kWhへと縮小した。
再生可能エネルギーは2.9%増えて525億kWhとなった。夏の猛暑渇水で日照時間が極端に長かったことから太陽光が20.3%増加し、全体をけん引した。風力は1.0%増、バイオガスは1.9%増。水力では猛暑渇水が足かせとなり33.6%減少した。
最大の電源は石炭で、シェアは前年同期の31.9%から36.3%へと拡大した。2位は風力発電で16.8%(前年同期16.5%)。3位以下は太陽光(22年第3四半期のシェア16.0%)、天然ガス(9.2%)、原子力(7.4%)、バイオガス(6.1%)、水力(2.9%)の順で続いた。
在来型のシェアは55.6%に上ったものの、前年同期の57.0%から低下した。再生エネは43.0%から44.4%へと拡大した。
上半期の電力輸出量は160億kWhとなり、前年同期を8.9%上回った。輸入量は8.8%減の130億kWhで、輸出超過幅は前年同期の5億kWhから30億kWhへと大きく増えた。
フランスからの輸入は5億kWhとなり、前年同期(42億kWh)を87.9%も下回った。同国では主力電源である原発の多くが技術的な理由で利用できないことから、ドイツは今年(1~9月)、出超となっている。対仏の出超は統計を開始した1990年以降で初めてだ。