米自動車大手フォードが欧州で販売する車種を大幅に縮小する意向だ。同地の販売台数が減り、すべてのセグメントでモデルを提供する余力がなくなっているためだ。欧州でCASE分野の開発を統括するマルティン・サンダー氏への取材をもとに『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が報じた。
フォードの欧州販売は低迷が続いている。今年1~11月の販売台数は約35万台で、市場シェアは4.2%にとどまった。利幅の薄い大衆車を手がける同社がすべてのセグメントでモデルを販売するこれまでの姿勢を続けるには小さすぎる規模だ。従来型のガソリン車、ディーゼル車に加え、マイルドハイブリッド車、プラグインハイブリッド車(PHV)、電気自動車(BEV)も提供するとなると、状況はさらに厳しい。縮小均衡の方向に舵を切らなければ業績改善は見込めない。
欧州は規制や顧客の嗜好が本国米国と異なることから、フォードにとってもともと難しい市場だった。同市場に照準を合わせたモデルを開発してもコストを回収しづらく、欧州事業は構造的な赤字から抜け出せない状況となっている。
サンダー氏はこれを踏まえ、今後はブランドの米国色を強く打ち出していく考えを示した。米競合ゼネラル・モーターズ(GM)が欧州市場からほぼ撤退していることもあり、独自色を明確化しやすいとみている。