22年の化学業界生産高10%減少、エネ高騰などで4割の企業が減産

独化学工業会(VCI)は15日、同国の化学・製薬業界の生産高が今年は前年を6.0%下回る見通しを明らかにした。エネルギー、原料価格高騰の直撃を受ける化学業界に限ると減少幅は10%に達し、リーマンショック後の2009年以来の規模となる見通しだ。

下落幅が特に大きいのは石油化学品・誘導体で、15.5%に達する。無機化学品(9.0%減)、ポリマー(9.0%減)、ファイン・スペシャル化学品(8.5%減)も大きく落ち込む。洗剤・ボディケア用品・化粧品はマイナス1.5%と減少幅が比較的小さい。製薬は3.0%増加する。

化学業界の生産高はロシアのウクライナ進攻を受けて3月に減少(前年同月比)へと転じた。その後は減少幅が拡大傾向にあり、最新のデータのある10月は21%に達した。

加盟企業へのアンケート調査(11月に実施)では、現在の危機への対応策として「減産を実施した/計画している」との回答が計39%に達した。「国外への生産移管を実施/計画」も23%と多く、エネルギー価格の高騰が長期化すれば、国内の素材産業が空洞化する懸念がある。生産しても採算が合わないため「受注を停止した/停止を計画している」は20%、「生産設備を永久停止した/永久停止を計画している」は10%に上った。

今年の化学・製薬業界売上高は前年比17.5%増の2,665億ユーロへと大幅に拡大する見通し。急上昇した製造コストの価格転嫁が行われているためで、国内(19.5%増の1,047億ユーロ)と国外(16.0%増の1,618億ユーロ)がともに2ケタ増となる。ただ、「コスト増加分を完全ないしほぼ完全に転嫁した」企業は35%にとどまる。「ごくわずかに転嫁した/ほとんど転嫁していない」は35%、「半分だけ転化した」も29%に上っており、大半の企業は利益が圧迫されている。増益を見込む企業はわずか2%で、55%は利益の減少を予想。24%は赤字計上ないし経営破たんの危機に直面している。

景気低迷を受け需要も落ち込んでおり、「受注が不足している」企業は全体の67%に達した。不足度が高い企業は27%に上る。VCIはこれを踏まえ、来年は生産高だけでなく、売上高も減少するとの予想を示した。生産と売り上げの減少幅がどの程度になるかについては、経済環境が極度に不安定なため数値化できないとしている。

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