マレーシアがEUへのパーム油輸出停止検討、販売制限への報復措置

マレーシアのファディラ副首相兼農園一次産業相は12日、欧州連合(EU)へのパーム油輸出停止を検討していることを明らかにした。EUが世界中の森林開拓地で生産された農産物、木材などの域内での販売を厳しく制限する措置の導入を決めたことに対する報復措置で、実施する場合は同じくパーム油の主要生産国であるインドネシアと協調する方針だ。

昨年末に決まったEUの措置は、事業者に対して取り扱う製品が違法伐採などによって開発された農地で生産されたものでないことの確認を義務付けるのが柱。パーム油、牛肉、木材、コーヒー、カカオ、ゴム、大豆と、それらの派生製品(チョコレート、家具、コピー用紙など)が対象となる。

EUは以前から東南アジアでのパームヤシ栽培について、森林破壊につながるとして問題視しており、世界最大のパーム油生産国であるインドネシアと同3位のマレーシアと対立していた。ファディラ副首相は記者会見で、対抗措置の選択肢として、EUへのパーム油輸出停止を視野に入れていることを言明。インドネシアと協議したうえで、足並みをそろえて実施したい考えを示した。

マレーシアのパーム油庁(MPOB)によると、EUはパーム油消費で世界3位。2022年のマレーシアからの輸入は147万トンで、同国のパーム油輸出の9.4%を占める。

同国の今回の動きについて、EUのロカス駐マレーシア大使はロイター通信に対して、同措置はEU域内で生産される農産物なども含めて平等に適用されるもので、マレーシアからのパーム油輸入を全面的に禁止するわけではないとコメント。ファディラ副首相と会談し、販売制限措置への理解を求める意向を表明した。

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