欧州中央銀行(ECB)は2日の定例政策理事会で、政策金利を0.5ポイント引き上げることを決めた。利上げは5会合連続。ユーロ圏のインフレ率は鈍化しているものの、なお高水準にあることから利上げを継続する方針で、3月の次回会合でも0.5ポイント引き上げることを言明した。
主要政策金利は2.5%から3.0%、民間金融機関が余った資金をECBに預け入れる際の金利(中銀預金金利)は2.0%から2.5%に引き上げられる。新金利は8日から適用される。
ECBはロシアのウクライナ侵攻などの影響でエネルギー、食品価格が高騰していることを受けて、2022年7月に11年ぶりの利上げを実施。政策金利を0.5ポイント引き上げた。それでも効果がなく、ユーロ圏のインフレ率が過去最高を更新し続けているため、9月と10月には金融引き締めのペースを加速し、利上げ幅を通常の3倍となる0.75ポイントに拡大した。
今回の利上げ幅は前回と同水準。インフレ率が鈍化傾向にあることや、景気への影響を考慮して0.5ポイントに抑えた。金利は08年11~12月以来の高水準となる。
ユーロ圏の1月のインフレ率は前年同月比8.5%となり、前月の9.2%から0.7ポイント縮小した。鈍化は3カ月連続。エネルギー価格の高騰に歯止めがかかっていることが背景にある。
それでも、ECBが目標値とする2.0%を大きく上回っている。ECBは声明で、「インフレ率を2.0%に近づけるため、金利を大幅かつ安定したペースで引き上げる方針を堅持する」として、3月に0.5ポイントの追加利上げを実施することを予告した。
市場では利上げ局面が終了に近づいているとの観測が浮上しているが、ラガルド総裁は理事会後の記者会見で、インフレ圧力は依然として高く「我々は片付けなければならないことを(まだ)成し遂げていない」と発言。3月の次の会合が開かれる5月以降について、「次の進路を判断する」としたECBの声明に対して、これまでより緩やかなペースではあるものの、利上げを継続することを示唆した。