ティッセンクルップ―フリート事業者向けサービス子会社を売却―

独複合企業ティッセンクルップは7日、レンタカー会社やカーシェアリング会社などフリート事業者向けのサービス事業を手がける社内スタートアップ企業carValooを同業のフリート・テクノロジーに売却すると発表した。carValooは当初から外部の投資家の獲得を目指しており、これが実現した格好だ。

ティッセンクルップはcarValooの資本77.5%をフリート・テクノロジーに譲渡し、出資比率を22.5%に引き下げる。取引価格は公表していない。

carValooは2020年の設立。人工知能(AI)を用いてフリート車両の状態や損傷、使用履歴に関する詳細な情報を把握し、リアルタイムで顧客のフリート事業者に伝達するサービスを展開している。これまでに独・欧州で約10社を顧客として獲得した。

同社の共同設立者であるトム・アルトホッフ販売担当役員は、「(設立後)最初の2年で顧客基盤を構築し、成長を長期的に続けるために必要な投資家を獲得することが我々の目標だった。この2つの目標を達成した」と述べた。今後2年で事業のスケール化と新規市場の開拓を通して顧客数を3倍に拡大。損益分岐点を確保する考えだ。

カーシェア・レンタカー会社は売り上げの最大10%に相当する額を、責任の所在が不明確な車両の損傷で失っている。また、人の手による損傷確認は手間暇がかかる。carValooのソリューションを利用するとそうした損失と無駄を大幅に減らせることから、フリート・テクノロジーは今回の買収に踏み切った。フリート・テクノロジーのアレックス・キム社長は、「正確な損傷認識と効率的な損傷管理はより高い利益率を目指すフリート事業者の大きな課題だ」と指摘する。

carValooは今後、顧客の業務効率を一段と向上させるため、AIベースのサービスを損害清算プロセス分野にも拡大する意向だ。

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