ドイツ連邦陸運局(KBA)が3日発表した1月の乗用車新車登録台数は17万9,247台となり、前年同月を2.6%下回った。減少は6カ月ぶり。電動車補助金の年明け縮小を見越して、昨年末まで駆け込み需要が殺到。今年1月はその反動が出た格好だ。コロナ禍前の19年同月に比べると新車登録数は33%少ない。
経済・気候省は昨年7月、電動車向けの国の補助金を今年から縮小することを明らかにした。与党合意に基づく措置で、電気自動車(BEV)と燃料電池車(FCV)で支給額を引き下げ、PHVでは補助金を廃止。BEVとFVCの助成額は今年1月1日付で従来の「7,500~9,000ユーロ」から「4,500~6,750ユーロ」に低下した。
この影響でBEVの1月の新車登録台数は前年同月比13.2%減の1万8,136台へと後退。PHVは53.2%減の8,853台と半分以下に落ち込んだ。PHVを含むハイブリッド車(HV)も6.2%減って5万772台となっている。内燃機関車はガソリン車が3.5%増の6万9,922台、ディーゼル車が1.2%減の3万9,230台だった。
シェアをみると、BEVは前年同月の11.3%から10.1%、PHVは10.3%から4.9%へと後退。HVは28.3%で、1.1ポイント低下した。ガソリン車は2.3ポイント増の39.0%、ディーゼル車は0.3ポイント増の21.9%だった。乗用車新車登録に占めるBEVとPHVの合計は15.0%(前年同月21.6%)、BEVとHVの合計は38.4%(40.7%)となっている。
環境対応車のシェア低下を受け、走行1キロメートル当たりの新車の二酸化炭素(CO2)排出量は前年同月比5.8%増の131.0グラムと大幅に増えた。
シェアが最も大きかった部門はSUVで、27.0%(前年同月27.8%)に上った。これにコンパクトカーが15.8%(17.6%)で続いた。3位はオフロード車で14.1%、4位は小型車で11.9%、5位は中型車で10.2%となっている。かつては1位と2位を独占していたコンパクトカーと小型車は近年、シェアが低下傾向にある。
伸び率が最も大きかった部門はスポーツ車で、62.2%に達した。大型バンも52.0%と好調だった。ミニバンは72.7%減と大幅に落ち込んでいる。
中国ブランドの台数は1~2ケタ台
主要ブランドの実績をみると、伸び率が最も大きかったのはBEV専門のテスラで、912.2%増の4,241台を記録した。キャデラック(207.1%増の43台)、MGロエベ(169.8%増の438台)、MAN(167.4%増の123台)、マセラッティ(135.9%増の151台)、スズキ(112.3%増の1,809台)も3ケタ台の伸びを記録した。
MAN以外のドイツ車ではポルシェ(19.3%増の3,057台)、メルセデス(14.5%増の2万1,439台)、フォード(3.4%増の8,174台)、VW(1.3%増の3万7,076台)が増加。アウディ(1.0%減の1万4,754台)、BMW(24.7%減の1万1,158台)、オペル(34.4%減の7,327台)、スマート(39.1%減の726台)、ミニ(54.3%減の1,594台)は減少した。
スズキ以外の日本車では日産(49.6%増の1,998台)、マツダ(31.0%増の3,327台)、トヨタ(28.3%増の6,538台)が大きく伸びた。そのほかのブランドはホンダが7.7%減の503台、スバルが26.5%減の236台、レクサスが39.5%減の135台、三菱が70.1%減の668台となっている。
日本車以外の主な輸入ブランドをみると、リンク・アンド・コー(97.1%増の410台)、アルファロメオ(85.3%増の430台)、ランドローバー(83.0%増の1,140台)、フェラーリ(61.3%増の129台)、ダチア(42.1%増の5,671台)、ジャガー(36.9%増の245台)、シュコダ(12.6%増の1万3,759台)が2ケタ台の伸びを確保した。シトロエン(9.9%増の2,269台)も前年同月を上回っている。フィアットは3.4%減の3,970台、現代は6.9%減の6,076台、ポールスターは11.5%減の154台、ボルボは22.4%減の2,233台、起亜は26.0%減の3,145台、プジョーは29.1%減の2,739台、双竜は30.1%減の195台、ルノーは36.2%減の3,566台、セアトは38.8%減の5,588台、ジープは42.9%減の660台だった。
中国メーカーは昨年秋から冬にかけて独市場に相次いで参入した。各ブランドの実績はBYD(比亜迪汽車)が50台、GWM(長城汽車)が2台、NIO(蔚来汽車)が1台。20年参入のAiways(愛馳汽車)は5台だった。
一方、独自動車工業会(VDA)が同日発表した1月の国内乗用車生産台数は32万9,000台で、前年同月を31%上回った。輸出台数も26%増えて22万7,400台となった。