工作機械業界がコロナ禍から回復、22年の生産・新規受注とも2ケタ増に

ドイツ工作機械工業会(VDW)が9日に発表した独業界の2022年の生産高は前年比10%増の141億4,000万ユーロ(暫定値)となり、2年連続で拡大した。新規受注高も2ケタ増となっており、フランツクサファー・ベルンハルト会長は「コロナ危機の影響はほぼ克服された」と明言した。

新規受注高は前年比18%増の159億6,000万ユーロ(暫定値)となり、コロナ禍直前の19年(122億8,000万ユーロ)を大きく上回った。増加は2年連続。国内が18%増の46億6,000万ユーロ、国外が17%増の113億ユーロとともに2ケタ台の伸びを記録した。

工場稼働率は87.7%(暫定値)で、前年の80.8%を大きく上回った。19年(88.4%)とほぼ同水準まで回復している。

輸出高は7%増の86億7,000万ユーロ(暫定値)と伸び率がやや小さかった。欧州向けが振るわなかったためだ。1~11月のデータをみると、欧州は前年同期を3%下回った。ウクライナに軍事侵攻したロシアに対する制裁が響き、東欧が19%減となったことが響いた格好だ。イタリアは機械購入補助金の効果で19%増えた。

北米向けは24%増と好調だった。最大市場の米国が28%増えたことが大きい。

アジア向けも11%増加した。最大市場の中国はゼロコロナ政策の影響で1%増にとどまったものの、インド(55%増)、日本(35%増)などが全体を押し上げた。

輸出に占めるシェアが最も高かったのは中国で、18.7%(前年同期19.6%)に上った。これに米国が14.7%(12.0%)、イタリアが6.4%(6.0%)、スイスが5.0%(3.8%)、オーストリアが4.1%(5.5%)、ポーランドが4.0%(4.5%)で続いた。日本は2.1%で15位につけている。

22年の工作機械輸入高(暫定値)は34億ユーロで、前年を14%上回った。1~11月の国別シェアをみると、1位はスイスで25.8%(前年同期24.3%)に上った。2位は日本で10.8%(9.6%)、3位は中国で8.1%(6.9%)、4位はイタリアで6.6%(10.7%)、5位はオーストリアで5.8%(5.6%)、6位は韓国で5.7%(4.4%)だった。

23年については生産高が9%増の155億ユーロに拡大すると予想を示した。中国のコロナ規制の大幅緩和や他のアジア諸国の経済成長、世界的な投資拡大がプラスに働くとみている。インフレとエネルギー・原料価格の高騰に関してはピークを過ぎたとの判断を示した。

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