欧州の気温が今年、低水準になったとしてもドイツの今秋の天然ガス備蓄率は100%に達し、法定水準を確保できる見通しだ。天然ガスと水素の貯蔵事業者が加盟するドイツの業界団体エネルギー貯蔵イニシアチブ(INES)が9日明らかにしたもので、1月に公表した前回予測から上方修正したことになる。前回予測では、今年の気温が平年並みであれば法定の備蓄水準を確保できるとしていた。
INESは欧州連合(EU)の23年の気温が(1)平年並みだった16年と同じ水準になる(2)気温が高かった20年と同水準となる(3)気温が低かった10年と同水準となる――という3つのシナリオを作成した。それによると、最も厳しい(3)のシナリオになった場合は備蓄率が2月1日の79%から4月1日には23%まで下がるものの、その後は上昇へと転換。10月1日には100%に達し、同日の法定許容下限(85%)を大幅に上回る。11月1日の許容下限(95%)もクリアできる見通しだ。
(2)のシナリオでは備蓄率が底を打つ4月1日時点でも70%を大幅に上回ることから、その後の備蓄積み増しを行いやすくなる。事業者は市場価格が低いタイミングを見計らって調達できるため、ガス価格の高騰抑制につながる。