22年のCO2排出量1.9%減少、30年目標達成には3倍以上の速度が必要

連邦環境庁(UBA)が15日発表したドイツの2022年の温室効果ガス排出量は二酸化炭素(CO2)換算ベースで約7億4,600万トンとなり、前年を1.9%下回った。1990年に比べると40.4%減っている。ただ、ディルク・メスナー長官は、30年までに90年比で65%削減するとした法定目標を達成するためには年率6%のスピードで削減しなければならないと指摘。年2%というこれまでのペースを大幅に引き上げる必要があると強調した。

減少率が最も大きかった部門は製造業で、10.4%減の1億6,400万トンに縮小した。電力や天然ガス価格の高騰を受けて金属や化学などエネルギー集約型産業を中心に生産が抑制されたことが背景にある。

建造物も5.3%減の約1億1,200万トンに低下した。エネルギー価格高騰のほか、暖冬で暖房需要が小さかったことが大きい。連邦気候保護法(KSG)で定められた目標値(1億740万トン)に比べると4%以上、高い水準にある。

最大部門のエネルギーは4.4%増の約2億5,600万ユーロに拡大した。天然ガス不足と価格高騰を受けて、CO2排出量の多い石炭火力発電が増えたことが響いた格好だ。KSGの目標値(2億5,700万トン)についてはかろうじて遵守した。

交通部門の排出量も0.7%増の約1億4,800万トンに拡大した。新型コロナウイルス感染防止規制が緩和され、乗用車の利用が増えたためだ。電動車の販売台数は大幅に増えたものの、相殺するには至らなかった。KSGの目標値(1億3,880万トン)を大きく上回っている。

農業部門は1.5%減の6,200万トン、廃棄物部門は4.5%減の430万トンだった。ともにKSGの目標値(それぞれ6,760万トン、850万トン)を下回った。

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