EnBW―北海に風力発電パーク建設、助成措置を不利用―

独エネルギー大手EnBWは23日、北海のドイツ海域に新たな風力発電パーク「へ・ドライト(He Dreiht)」を建設する計画を正式決定したと発表した。ヘ・ドライトは再生可能エネルギー電力の買い取り価格制度を利用せずに運営される世界でも数少ない風力発電パークとなる。同社が50.1%出資。残り49.9%は保険大手アリアンツとデンマークの投資会社AIP、ノルウェー政府年金基金の3者が均等出資する。

へ・ドライトはボルクム島の北西85キロの海域に建設される。約24億ユーロを投じてヴェスタス製のタービン64基を設置。2025年末から商業運転を開始する。発電容量は960メガワット(MW)で、約110万世帯の電力需要に相当する。

EnBWによると、買い取り価格制度の助成を受けずに運営できるのは、◇最新のタービンを投入する◇同社の既存の洋上風力発電パークとシナジー効果が見込める◇産業顧客との長期買電契約(PPA)を通して安定収入を確保できる――ためだ。へ・ドライトで発電する電力はすでに、フラポート(フランクフルト空港運営会社)、エボニック(化学)、ザルツギター(鉄鋼)、ボッシュ(自動車部品)に供給することが決まっている。その量は計335MWと容量の3分の1を超える。EnBWは他の企業ともPPA契約の締結に向けて交渉している。企業は炭素中立の実現に向け二酸化炭素(CO2)の排出量を速やかに削減しなければならないことから、PPA市場の将来性は高い。

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