ハイデルベルク・マテリアルズ―業界初の完全CCUS施設をカナダに設置―

建材大手の独ハイデルベルク・マテリアルズは6日、カナダ政府の支援を受けてCCUS(二酸化炭素回収・有効利用・貯留)プロジェクトを実施することで両者が基本合意したと発表した。アルバータ州エドモントンにあるセメント工場にCCUS施設を設置し、工場で排出される二酸化炭素(CO2)をほぼすべて回収・貯留する。セメント業界初のCO2完全回収・貯留プロジェクトになるとしている。

同施設を2026年末までに稼働させ、年100万トン以上のCO2を回収する。回収比率は最大95%に達する見通し。回収したCO2はパイプライン運営会社エンブリッジの協力を得て輸送し、地下3,000メートルの施設に貯留する。投資額とカナダ政府の助成額は明らかにされていない。

セメントの製造過程では原料の石灰石に含まれているCO2が不可避的に放出される。このため、業界が炭素中立を実現するためにはCCUSが必要不可欠で、ハイデルベルク・マテリアルズは様々なプロジェクトを展開している。

ノルウェー南部のブレビックに持つセメント工場ではCO2排出量の50%に当たる年40万トンを24年から回収。液化したうえで枯渇した海底の油田・ガス田に貯留する。

12日には、独南部のレンクフルト工場にCO2を回収して有効利用するための設備を設置する計画も明らかにした。プラント・工業ガス大手のリンデと共同で合弁会社「キャプチャー・ツー・ユーズ(CAP2U)」を設立。25年から同設備の運営を開始する。液化炭酸ガスを年およそ7万トン製造し、食品・飲料、化学業界に販売する意向だ。連邦経済・気候省から1,500万ユーロの補助金を受給する。

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