欧州中央銀行(ECB)は4日の定例政策理事会で、政策金利を0.25ポイント引き上げることを決めた。利上げは7会合連続。記録的な物価高に対応し、これまでは0.5ポイント以上の利上げを実施してきたが、インフレ率上昇に歯止めがかかっていることや、景気への目配りを重視し、小幅の引き上げにとどめた。
主要政策金利は3.5%から3.75%、民間金融機関が余った資金をECBに預け入れる際の金利(中銀預金金利)は3.0%から3.25%に引き上げられる。新金利は10日から適用される。
ユーロ圏のインフレ率は鈍化傾向にあるものの、ECBが目標値とする2.0%をなおも大きく上回っている。このため、小幅ながら追加利上げを決めた。
ECB はインフレ対策として22年7月から利上げを実施してきた。これまでの上げ幅は通常を大きく上回る0.5または0.75ポイントだった。
利上げ幅を0.25ポイントに抑えた背景には、ECBが金融政策決定で重視する基礎インフレ率(価格変動が激しいエネルギー、食品・アルコール・たばこを除いたインフレ率)が4月に縮小に転じたことや、23年1-3月期のユーロ圏の実質成長率が前期比0.1%と低迷していることがある。これまでの利上げの影響で企業・家計の融資需要急減退、銀行の与信条件厳格化が起き、信用収縮の恐れがあることも考慮された。
ただ、ラガルド総裁は理事会後の記者会見で、賃上げが進んでいることなどでインフレの「大きな上振れリスクがある」として、引き続き物価上昇を警戒していく意向を表明。「まだやらなければならないことがある。休止はしていない」と述べ、利上げ打ち止めを否定した。市場では米国の金融不安の影響などを考慮しながらも、6月以降に少なくとも1回の利上げを行うとの見方が大勢だ。