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2013/10/30

経理の新情報

2014年からの旅費交通費の取り扱い

この記事の要約

2014年よりこれまで旅費交通費の税法上の取り扱いで重要な概念であった「通常の勤務地(regelmaessige Arbeitsstaette)」は廃止され、「主な仕事場(erste Taetigkeitsstaette […]

2014年よりこれまで旅費交通費の税法上の取り扱いで重要な概念であった「通常の勤務地(regelmaessige Arbeitsstaette)」は廃止され、「主な仕事場(erste Taetigkeitsstaette)」という概念が新たに創設されます。

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「主な仕事場」

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改訂版所得税法第9条4項によると、「主な仕事場」とは、雇用者、関連会社又は雇用者により定められた第3者(例えば客先)により提供された一定の事業施設であり、尚かつその勤務地が例えば雇用契約書等を通して継続的なものであると定められているものとしています。継続的とはこの場合、例えば被雇用者が、無期限ないしは全ての勤務期間、もしくは48カ月を超えてその勤務地で働くことを想定している場合です。仮に上記の前提条件を満たしていない場合や勤務地が明確に定まらない場合でも、被雇用者が毎日(少なくとも週2日)通う、もしくは定められた全体の勤務時間のうち1/3以上を過ごしている勤務地が「主な仕事場」として判断されます。

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雇用者が多数いる場合でも、被雇用者はこの「主な仕事場」を1つだけしか持つことができません。仮に雇用者との間に上記の条件を満たす複数の勤務地がある場合は、雇用者が「主な仕事場」を定めることができます。雇用者がその「主な仕事場」を定めなかった場合は、自宅に一番近い勤務地が「主な仕事場」と認識されます。

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乗り物、ホームオフィスまたは広範囲にわたる勤務地は「主な仕事場」として認識されません。

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「主な仕事場」までの通勤費の計算方法は従来通り片道距離数に基づく定額法(Entfernungspauschale)

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自宅から「主な仕事場」までの交通費及び二重家計の際の週1度の帰省にかかる交通費もこれまで通り片道距離数に基づく定額法で算出した額を必要経費として計上できます。2014年からは雇用者が被雇用者に支給する通勤費(例えば定期券代)は上記の定額法に置き換えて計算され、さらにそのフリンジベネフィットの額が毎月の非課税枠である44ユーロ以下(所得税法第8条2項最終文)である場合は、その分必要経費控除可能額から減額されます。

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「主な仕事場」以外への勤務地への交通費

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事業に伴うその他の勤務地への交通費は、出張旅費精算で適用される規則に基づいて算出されます。即ち、実際に発生した交通費又は距離に基づく定額法(例:乗用車の場合、移動距離×0.30ユーロ

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)を必要経費として計上できます。

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「主な仕事場」がなく、その代わりに長期に亘り定められた場所(例えばバスターミナル)や広範囲に亘る場所で勤務することを義務づけられている被雇用者には、自宅から勤務エリアの入り口までの計算には片道距離数に基づく定額法が適用されます。その勤務エリアの入り口から実際の勤務が遂行される場所までの移動には出張旅費を精算する際のルールが適用されます。

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例)

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港湾労働者Aの自宅から勤務地である港の勤務エリア入り口までの距離は10km。Aは港内の別のエリアでの作業も担当している日もあり、該当日は車で自宅から25km離れた港内の勤務エリアまで移動している。Aは以下の金額を事業用必要経費として計上することが可能。

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最初の10kmは片道距離数に基づく定額法(10km×0.30ユーロ=3.00ユーロ)    

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次の15kmの往復合計(15 km×2×0.30ユーロ=9.00ユーロ)

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事業用経費として計上できる額=12.00ユーロ

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雇用者からの還付

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雇用者は、被雇用者に対し出張旅費精算で適用される規則に基づき算出された旅費交通費(例えば自家用車または鉄道を使用)を賃金税非課税で支給する事ができます(所得税法第3条16号)。

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雇用者は被雇用者に自宅から「主な仕事場」までの交通費を支給する際、従来通り一律15%の源泉徴収税とその5.5%の連帯税(場合によっては教会税)が課税されます。 この場合、被雇用者はこの交通費を必要経費として計上することはできません。これら非課税または定額課税された雇用者支給額は社会保険料納付義務の対象とはなりません。

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