航空大手の独ルフトハンザは30日、メンテナンス子会社ルフトハンザ・テヒニクの合弁化計画を中止すると発表した。同子会社株の一部を売却する交渉が成功しなかったほか、エアバス「A320ネオ」のエンジン不具合問題を受けてメンテナンス・修理需要が大幅に増える見通しとなっていることから、方針を撤回。同子会社を自力で強化することにした。
ルフトハンザはコロナ禍の発生で旅客需要が激減し資金繰りが悪化した2020年、事業整理方針を表明した。ルフトハンザ・テヒニクの合弁化計画はその一環で打ち出されたもので、同子会社株50%未満を売却し、数十億ユーロの資金を確保する考えだった。
A320ネオでは米独日の5社が共同開発したエンジン「PW1100G-JM」に不具合があることが9月に判明した。これを受け同エンジンの大規模な検査プログラムが実施され、整備回数も当初計画に比べ大幅に増える見通しとなっている。
ルフトハンザ・テヒニクは現在、世界の旅客機の約20%に当たる4,500機のMRO(整備・修理・オーバーホール)を引き受けている。PW1100G-JMの不具合問題でMRO需要が大幅に増えることから、ルフトハンザは同子会社の事業を拡大することを決めた。
「アンビション2030」という名の成長プログラムを実施。買収も活用して国際的なプレゼンスを強化していく。欧州には修理工場1カ所を速やかに新設する意向だ。ルフトハンザ・テヒニの分析ソリューション向けプラットフォーム「AVIATAR」を用いたデジタルサービスも拡大する。