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二大政党が協働協議へ、社民内には大連立への強い懸念

2017年12月13日発行 No.1167号

独2位政党の社会民主党(SPD)は7日の党大会で、第一党のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)と今後の協力の可能性について協議することを決議した。マルティン・シュルツ党首は二大政党である両党が再び大連立政権を組みことへの批判が党内に根強いことを踏まえ、結果ありきの姿勢では話し合いに臨まないと発言。連立拒否もあり得ることを強調し、協議入りへの支持を取りつけた。

ドイツでは9月24日に連邦議会選挙が実施され、与党のCDU/CSUとSPDはともに得票率を大幅に落とした。SPDはこれを受け、大連立政権は有権者に「ノー」を突き付けられたとして同日中に下野方針を表明。次期政権は差し当たり、中道右派のCDU/CSU、自由民主党(FDP)と中道左派の環境政党・緑の党が樹立する以外に選択肢がなくなった。

これを受けCDU/CSUとFDP、緑の党は政権協議を実施したものの、11月19日にFDPが交渉打ち切りを表明したことから決裂。CDU/CSUとSPDが再び大連立政権を樹立することへの期待が高まった。CDU/CSUが少数与党政権を樹立することや、解散・再選挙という選択肢もあるものの、政権の不安定化や政治の混迷懸念がある。

議会の過半数の支持を受けた新首相を選出できない場合に議会の解散権を持つシュタインマイヤー大統領(SPD)はこうした事情を踏まえ20日、「政権樹立は民主主義における政党への有権者の高い、おそらくは最高の委託だ」と指摘。SPDを含む各党に政権樹立に向けて努力するよう呼びかけた。解散・再選挙を可能な限り回避する考えで、各党の首脳と会談し再考を促した。

SPDのシュルツ党首はCDU/CSU、FDP、緑の党の交渉決裂直後、大連立政権を改めて否定したものの、党友のシュタインマイヤー大統領から再考を求められたうえ、大連立を求める世論の圧力も強いことから態度を軟化させた。

ただ、これまで大連立の継続を拒否してきた経緯があるうえ、党内には大連立に否定的な意見も強いことから、CDU/CSUとの連立交渉要求を簡単に受け入れることはできず苦慮。CDU/CSUとの協働協議が自動的に大連立の樹立につながる保証はないことを強調し、今回の党大会で同協議への支持を獲得した。

SPDはCDU/CSUとの間で連立交渉入りを取り決めても新たな党大会で承認を得なければならず、大連立実現のハードルは高い。党内には政権入りせずにCDU/CSUの少数与党政権と個々のテーマごとに協力関係と結ぶ閣外協力路線を求める声が強い。

有権者は大連立支持

SPDが大連立に消極的な背景には、社会的弱者や被用者の権利強化など中道左派の同党らしさを出しにくいうえ、中道左派色の政策を実現しても成果をメルケル首相に“吸い上げられ”、同党の支持率上昇につながらないという警戒感がある。2013年に成立し現大連立政権では例えば、通算45年以上勤務した63歳以上の就労者であれば定年前(現在65歳)に退職しても公的年金を満額受給できるルールがSPDの要求で導入されたもの、同党の低迷に歯止めはかからなかった。野党第一党となって与党CDU/CSUを正面から攻撃し支持率を高めていくというのが、9月の選挙後にSPDが描いた筋書きだ。

だが、そうした思惑は有権者の期待に沿っていない。公共放送ZDFの委託で世論調査機関ヴァーレンが実施した最新のアンケート調査では、SPDの支持率が11月中旬の前回調査を2ポイント上回る23%へと上昇した。CDU/CSUとの協働協議に応じる姿勢を打ち出したことが評価されたためだ。連立協議を打ち切ったFDPは逆に2ポイント減の8%へと落ち込んでいる。有権者の多くは安定政権を望んでおり、大連立の支持は47%と不支持(36%)を10ポイント以上、上回った。CDU/CSUの少数与党政権の支持は30%で、再選挙への賛成は19%にとどまる。

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