独高級車メーカーのBMWは炭素繊維複合材料(CFRP)を使用した電気自動車「i3」の販売好調を受けて、米ワシントン州のモーゼスレイクに建設した炭素繊維工場の生産を倍増する計画のもようだ。CFRPを「7シリーズ」の新モデルに採用することも検討しているという。17日付の独経済紙『ハンデルスブラット』が報じた。
モーゼスレイク工場は、BMWと独炭素製品大手のSGLグループが設立した合弁会社が運営している。『ハンデルスブラット』紙によると、両社は、新たに1億ユーロ以上を投資して同工場の生産能力を2倍の年6,000トンに引き上げる計画という。
同紙によると、「i3」は昨年11月の発売以来、すでに1万1,000台を販売している。今後、米国と中国で発売すれば販売はさらに伸びる見通しで、2014年の生産目標であった2万5,000~3万台を上回ると見られている。
BMWはCFRPを電気駆動システムを搭載した「iブランド」のモデルに採用しており、「i3」のほか、今年発売予定のプラグインハイブリッドのスポーツカー「i8」でも使用する。「7シリーズ」の新モデルへの採用が決まれば、既存の量産モデルでは初めてCFRPを採用することになる。
BMWは販売総数では独競合のメルセデス・ベンツを上回るが、トップモデルを比較すると、メルセデス・ベンツの「Sクラス」の方がBMW「7シリーズ」より販売台数が多いという。このため、CFRPの採用により「Sクラス」との差別化を図り、競争力を高める狙いがあると見られている。