オランダの塗料大手アクゾノーベルが同業の米アクサルタ・コーティング・システムズに合併を打診しているもようだ。欧米メディアが10月28日、業界事情に詳しい複数の関係者の話として報じた。交渉は初期段階で合意に達する保証はないものの、実現すると時価総額がおよそ300億ドルに上る巨大塗料メーカーが誕生する。アクゾ、アクサルタともコメントを控えている。
アクゾは「デュラックス」や「ハンマーライト」などのブランドを展開する世界最大手の塗料メーカー。一方のアクサルタは自動車用塗料の有力メーカーで、大型トラック用塗料では北米市場で最大のシェアを誇る。合併交渉の報道を受け、アクサルタの株価は一時22%上昇した。
アクゾは今年3月、業界2位の米PPGインダストリーズから買収提案を受けたが拒否。PPGは条件を引き上げたがアクゾは再度拒否し、代わりに売上高の約3分の1を占める特殊化学品部門を売却または独立させる方針を打ち出した。
しかし、PPGとの交渉に応じようとしないアクゾ経営陣の姿勢が一部株主の怒りを買い、トン・ビュークナー最高経営責任者(CEO)は7月、病気を理由に突然辞任。PPGが再び買収を仕掛けてくる可能性もあるなか、後任のティエリー・ファンランカー氏を中心とする新経営陣は株主価値を高める方策を検討していた。