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ドイツ南部のバイエルン州でこのほど実施した電気自動車のインテリジェントな充電に関する研究プロジェクト。電気自動車の充電による電力網の負荷を減らすため、近くの再生可能エネルギー設備から充電する割合を高める方法を通勤用の電気自動車で実証試験した。

電気自動車の充電は、電力需要が多い時間帯に集中すると、電力網の負荷が高まる。また、再生可能エネルギーは発電量に波があり、電力需要の高い時間帯に合わせて発電量を増やすことができない難点がある。

このような背景から、今回のプロジェクトでは、バイエルン州ブーフローエの駅にあるパーク・アンド・ライド(P+R)施設で実証試験を行い、昼間に停車している時間が多い通勤用車両の充電に太陽光エネルギーを活用した。

ブーフローエ駅のP+R施設まで車で来て、電車に乗り換え、ミュンヘンやアウグスブルクなどの近隣の都市に通勤する人を対象としたもので、プロジェクトの実施期間3年のうち、2年間で計4回の実証試験を行った。プロジェクトは2017年6月に終了している。

1回目の試験では、充電スタンドにケーブルを接続すると直ぐに充電を開始する設定とした。2回目は、最寄りの太陽光発電設備の発電量が増えている時、または、電力の取引価格が極めて低い時に充電するシステムとした。ドライバーが駐車場に到着後、オンラインポータルまたは入力ターミナルに充電残量と出発予定時刻を入力し、充電スタンドにケーブルを接続すると、各ドライバーの予定に合わせて設定の条件下で充電する仕組み。

この結果、2回目の方法では、再生可能エネルギーの充電量が1回目に比べ40%以上増加。再生可能エネルギーの割合は、1回目では全体の40%だったが、2回目では最大69%に達した。

今回のプロジェクトには、ミュンヘンのエネルギー経済研究所(FfE)、地域のエネルギー供給会社であるLEWと電力網運営会社のLVN、ブーフローエ市などの地方自治体が参加した。バイエルン州政府は資金面でプロジェクトを支援した。

プロジェクトに使用した電気自動車は計14台。計56人が参加し、それぞれが6カ月間、電気自動車を使用した。走行距離は合計で約40万キロメートルとなり、試験期間中に充電した再生可能エネルギー量は約6万2,000キロワット時だった。これはガソリン燃料で約2万リットル分に相当するという。

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