独アウトバーン有料化に「待った」、EU裁が違法な自国優遇策と判断

EU司法裁判所は18日、ドイツが計画しているアウトバーン(高速道路)の有料化について、実質的に国外で登録された乗用車のみを課金対象とする料金制度は「間接的な差別」にあたり、EU法に違反するとの判断を示した。2020年10月から導入される予定だったが、判決を受け、ドイツ政府は計画の撤回または抜本的な見直しを迫られる。

ドイツのアウトバーンは現在、大型車を除いて無料で利用できるが、17年3月に乗用車にも通行料を課す法案が成立した。排気量、排ガス性能、燃料の種類に応じて年間最大130ユーロを徴収するという内容。一方、自動車税を減税して利用者の負担を軽減する計画で、国内で登録されている車両については通行料が全額相殺され、実際には国外で登録された車両のみ課金対象となる予定だった。

これに対し、アウトバーンの利用者が多い隣国オーストリアは、減税措置によりドイツの自動車所有者が優遇される点を問題視し、独政府をEU司法裁に提訴した。司法裁は判決で、ドイツの通行料制度は利用者の居住地に基づく差別的な扱いを禁止したEU法に反すると指摘。オーストリア側の主張を認め、独政府に計画の見直しを命じた。

ショイアー連邦交通・デジタルインフラ相は判決を受け、これまで計画していた料金制度を導入できなくなったとしても、アウトバーンの有料化は可能だと強調。すでに専門家で構成する委員会を立ち上げて今後の方針について検討を進めていることを明らかにした。

一方、連邦交通・デジタルインフラ省は19日、通行料金収受システムの構築を委託していた独CTSイベンティムおよびオーストリアのカプシュ・トラフィックコムとの契約を解除したと発表した。アウトバーン有料化に向け、同省は昨年12月、両社と計20億ユーロ規模の契約を結んでいた。

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