2020年5月25日

仏・伊などEU6カ国、空売り禁止を解除

EUの金融規制当局である欧州証券市場監督機構(ESMA)は18日、フランスやイタリアなどEU6カ国が株式の空売りを禁止する措置を同日夜に解除すると発表した。

フランスとスペイン、オーストリア、ベルギー、ギリシャの証券監督当局は同日が期限だった空売り禁止措置を延長せず、解除した。

ESMAは同日、この措置に関しては6月16日まで継続すると発表した。

4月のEU新車販売76%減、過去最悪を更新

欧州自動車工業会(ACEA)が19日に発表したEU(マルタを除く26カ国)の4月の乗用車新車販売(登録)台数は27万682台となり、前年同月から76.3%減少した。

大半の市場で新型コロナウイルス感染拡大対策として自動車販売店が休業を迫られたことで、統計開始以降で最大の下げ幅を記録した。

EU26カ国に英国、アイスランド、ノルウェー、スイスを加えた欧州30カ国ベースの販売台数は78.3%減の29万2,182台。

生物多様性と持続可能な食料システムの新戦略発表、グリーンディールの一環で

欧州委員会は20日、生物多様性の保全と持続可能な食料システムの構築に向けた新戦略を発表した。

生物多様性の喪失を食い止めながら、EUの食料システムを競争力のある持続可能な世界標準とするため、欧州委は化学合成農薬や肥料の使用削減、有機農業の推進などの主要項目について野心的な目標を打ち出した。

具体的には欧州の土地と海洋の少なくとも30%を効果的に管理された保護地域に転換することや、農業用地の少なくとも10%を多様性に富んだ景観に戻すなどの目標を盛り込んだ。

4月のユーロ圏インフレ率、0.3%に下方修正

EU統計局ユーロスタットが20日に発表した4月の消費者物価統計によると、ユーロ圏のインフレ率(確定値)は前年同月比0.3%となり、速報値の0.4%から0.1ポイント下方修正された。

値下がりしているエネルギーの下げ幅が膨らんだことが反映された。

欧州中央銀行(ECB)が金融政策決定で重視する基礎インフレ率(価格変動が激しいエネルギー、食品・アルコール・たばこを除いたインフレ率)は0.9%で、前月から0.1ポイント縮小した。

独政府が貿易政令を改正、医療分野の企業保護強化へ

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて医薬品や医療用品の重要性が痛感されていることから、医療分野の独企業に対するEU域外の企業の出資計画をこれまでよりも厳しく審査できるようにする。

インド製の原薬に投入される原料の約70%は中国から輸入されている。

国内の医療用品、ワクチン、治療薬メーカーにEU外の企業が10%以上の出資を計画する場合は審査できるようにする。

英が入国者に14日間の隔離義務付け、第2波に備え水際防疫強化

感染が再拡大する第2波に備えて水際対策を強化する。

隔離中は公共交通機関の利用が禁止され、食料や生活必需品を調達するための外出も厳しく制限される。

ただ、経済の再開に向けた動きが本格化し始めた段階で厳しい規制を導入することに対し、航空業界は強く反発している。

英国債の入札、落札利回りがマイナスに

平均落札利回りはマイナス0.003%で、英の中長期国債では初のマイナスとなった。

3年物国債の利回りがマイナス化した背景には、英中銀のイングランド銀行が新型コロナウイルス対応で政策金利をマイナスにするとの観測が強まっていることがある。

これを受けて2年物国債の流通利回りは前週、マイナス0.051%まで低下していた。

新型コロナのワクチン、9月にも供給開始へ=アストラゼネカ

英製薬大手アストラゼネカは21日、英オックスフォード大学と開発している新型コロナウイルスのワクチンの供給を早ければ9月に開始すると発表した。

4億回分を供給する契約を締結したという。

開発に成功すれば、4億回分のうち1億回分を第1弾として9月にも英国に供給する。

英ロールス・ロイスが9千人削減へ、航空不況で

航空機エンジン大手の英ロールス・ロイスは20日、航空不況で経営が悪化していることを受けて、9,000人以上を削減すると発表した。

削減は旅客機部門を中心に実施する予定。

労組と協議した上で正式決定する。

フィンエアー、日本便などの運航を7月から再開

フィンランド航空最大手のフィンエアー(フィンランド航空)は18日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて運休していたアジア路線の一部の運航を7月1日から再開すると発表した。

欧州でも7月からパリ、ブリュッセル、モスクワ、プラハ便など26路線を再開する予定だ。

8月からはローマ、マドリード、ワルシャワ便などを再開するという。

ルフトハンザ、政府が90億ユーロ支援で半国有化か

新型コロナ危機で経営が悪化している独航空大手ルフトハンザは21日、政府との支援をめぐる協議が進展した段階にあることを明らかにした。

国は新株を取得し、同社を半国有化することになる。

国の株式保有比率は25%を超え、重要決議を阻止できるようになるが、ルフトハンザによると、国は同社を買収から守るなど例外的なケースを除いてこの権利を行使しないという。

ティッセンクルップが持株会社に転換、鉄鋼部門は合弁化も

鉄鋼と軍用船の2部門についてはグループ内にとどめるとしながらも、合弁化も視野に入れていることを明らかにした。

ティッセンの下で今後も事業を展開する部門は材料取引、産業部品、自動車部品、鉄鋼、軍用船の5部門。

一方、経営の重荷となっているプラント建設、パワートレイン・ソリューションズ、ばね・スタビライザー、インフラ、厚板、電池ソリューションズ事業およびイタリアのステンレス鋼生産子会社アッチャイ・スペチャーリ・テルニ(AST)については新設する受け皿部門「マルチトラックス」へと移管し、売却ないし事業拠点の閉鎖を検討する。

独車部品大手ZF、融資枠拡大で銀行と合意

自動車部品大手の独ZFフリードリヒスハーフェンは20日、取引先銀行から協調融資枠13億5,000万ユーロを新たに確保したと発表した。

競合コンチネンタルも前日、社債発行を通して市場資金15億ユーロを調達したことを明らかにしている。

ZFが確保した追加融資枠は総額30億ユーロに上る既存のリボルビング・クレジット・ファシリティ契約を補完するもので期間は1年。

日立製作所が伊で路面電車受注、トリノに新型車両70編成を供給

日立製作所は18日、イタリアの鉄道運営会社グルッポ・トリネーゼ・トラスポルティ(GTT)から、トリノ市に投入するトラム(路面電車)の新型車両70編成を供給する包括契約を締結したと発表した。

30編成を供給する第1弾の契約額は約6,340万ユーロ。

供給する新型トラムは1編成28メートル。

独エネルギー大手、超急速充電網構築で合弁

エネルギー大手の独EnBWは19日、電動車用の超急速充電網の構築・運営でオーストリア充電網事業者スマトリクス(SMATRICS)と協業すると発表した。

合弁会社スマトリクス・モビリティ+を設立し、オーストリアで超急速充電ステーションを拡充する。

5分の充電で100キロを走行できるようにする考えだ。

チェコ政府、企業に6500億円の信用供与

チェコ政府は18日、新型コロナウイルスの影響で経営難に陥った企業に対し、総額1,500億コルナ(約6,500億円)の信用供与を行うことを最終決定した。

信用供与を通じた企業支援策の第3弾で、最大15万社が対象となる。

企業は今回の措置を通じて、総額4,950億コルナの借り入れが可能になる。

ルーマニア家電大手アルクティクが生産停止、コロナ感染拡大で

トルコ家電大手アルチェリクのルーマニア子会社アルクティクが18日、社内で新型コロナウイルス感染が拡大していることを受けて、本社工場の稼働停止に追い込まれた。

25日から冷凍庫の製造は再開しており、来月2日からは冷蔵庫の生産ラインも再稼働する予定だ。

昨年10月にはガエシュティと同じドゥンボヴィツァ県のウルミで洗濯機工場が稼働した。

仏メカフォー、セルビアに航空機部品工場

仏金属鋳造部品メーカーのメカフォーが、セルビア北部キキンダに航空機部品工場を建設する。

新たに航空機部品事業に参入するため、同市に敷地面積3,000平方メートルの工場を構え、航空機用タービンの製造、仕上げ加工、マシニングを行う。

向こう3年間で180人を雇用する計画だ。

アルセロールミタル、ボスニア製鉄所の操業停止

鉄鋼世界大手アルセロールミタルのボスニア・ヘルツェゴビナ子会社アルセロールミタル・プリエドルが20日、ボスニア中部のゼニカ製鉄所とオマルスカ鉄鉱石鉱山の操業を停止した。

ゼニカ製鉄所は操業を継続するため、コスト削減や従業員の保護装具の調達、ガス・電気料金の交渉など様々な対策をとり、従業員の一時帰休もグループ交代制で行っている。

アルセロールミタルは2004年、ゼニカ製鉄所の買収で同国に進出した。

トルコ中銀が9会合連続で利下げ、政策金利8.25%に

トルコ経済へのダメージを避けるためには、金融市場の健全な機能の維持とクレジット・チャネル(金融政策の波及経路)の強化、企業のキャッシュフローの確保が重要になるとしたうえで、現行の緩和政策が金融の安定とコロナ後の回復に寄与するとの見方を示した。

今後の方針については、低インフレを維持することが景気回復にとり重要だとしたうえで、予想されるディスインフレの傾向と一致させるため引き続き慎重な金融政策をとるとしている。

中銀は昨年7月、2年10カ月ぶりの利下げを実施し、政策金利を24%から19.75%に引き下げた。

独仏首脳、コロナ「復興基金」の制度設計で合意

ただ、欧州委が調達した資金はEU予算から長期的に返済するため、加盟国に負担が回る可能性はある。

復興基金の財源に関しては、フランスとイタリア、スペインなどが「コロナ債」と称されるユーロ圏共同債を発行することを提唱していたが、ドイツやオーストリア、オランダなど財政健全化に努めてきた加盟国が、財政が厳しい南欧諸国などの債務を肩代わりすることになりかねないとして反対してきた。

さらに同首相は、ドイツがEUの次期中期予算への拠出を通じて、基金の27%に相当する額を負担する意向も表明した。

英がEU離脱後の新関税率を発表、自由化率60%に上昇

EUが第三国に対して設定している対外共通関税に代わり、2021年1月から英独自の関税率を適用する。

UKGTではEUの関税制度と比べて品目分類や課税体系が大幅に簡素化され、対外共通関税率が2%未満の品目は税率をゼロとする。

トラス国際貿易相は「新たな関税制度は煩雑な手続きを簡素化し、数千品目に及ぶ日用品のコストを引き下げることで、国内の消費者と一般家庭に恩恵をもたらすと強調した。
ただ、物品貿易を無関税とすることを柱としたEUとの自由貿易協定(FTA)交渉は難航している。移行期間内に妥結できなければEUからの輸入品にも新制度に基づく税率が適用され、食品や自動車を含む幅広い品目で価格上昇を招くことになる。

北アイルランド国境に通関施設置かず、英政府が公表

英政府は20日、EUからの離脱に際して合意した英領北アイルランドとEU加盟国アイルランドの国境管理問題について、通関手続きの具体案を公表した。

ただ、同制度の仕組みは複雑で、通関手続き上の国境はアイルランド島と英本土にはさまれたアイリッシュ海に引かれ、英本土から北アイルランドに流入する物品については、EUの関税は適用されないが、北アイルランド経由でアイルランドなどEUに輸出する目的で入ってきたものは課税される。

EU側は北アイルランドが単一市場と関税同盟にとどまるのであれば、EUの関税ルールが適用され、英本土から北アイルランドを経由してEUに輸出される製品には、域内に流入する前に適正に課税しなければならないと主張しているだけに、抜け穴が生じかねない同案を受け入れない可能性が高い。

旅客便再開に向け当局が安全管理の指針公表、マスクの常時着用など柱

空港や機内では1.5メートルの「社会的距離」を確保する必要がある。

このほか機内では免税品の販売を中止し、飲食の提供も予め包装されたものなどに制限する。

欧州委のヴァレアン委員(運輸担当)は「航空業界において乗客・乗員の安全確保は常に最優先事項だ。指針は利用者に空の旅が安全であると確信してもらい、業界が新型コロナの影響から回復するのに極めて有効だ」と強調した。

上部へスクロール