バルト諸国で液化天然ガス(LNG)ターミナルを新たに設置する計画が進められている。ロシアのウクライナ侵攻を受けたもので、天然ガスを同国からの輸入に頼ってきた同諸国はLNG船による輸入拡大で供給元を多角化しようとしている。既存のネットワークも活用し、ロシアからの供給が途絶したフィンランドとも協力していく予定だ。
ラトビア政府はエストニア及びリトアニアに同調してロシアからのガス輸入を来年1月から禁止する方針だ。フィンランドはロシア国営ガスプロムが提示した契約条件を拒否したため、今年5月にロシアからの化石燃料の輸入が途絶している。
現在リトアニアのクライペダには同地域唯一のLNGターミナルがあるほか、ラトビアには欧州で3位の貯蔵量を持つガス貯蔵施設がある。ラトビア経済省によると、同施設は地域のガス供給のハブとしてガス取引の拠点とすることが可能だ。同国の新政権に参加する一部政党はリガ湾に面したスクルテにLNGターミナルを建設する計画への支援を表明しており、計画が実行されれば2~3年後には稼働が開始できる。経済省によると、スクルテでのターミナル建設の入札にはすでに複数の企業グループが応札している。
このほか、ラトビアの電力会社ラトベネルゴ(Latvenergo)がスポット市場で6隻分から9隻分のLNGを調達しようとしており、来年にはリトアニアのクライペダのターミナルに到着する予定だ。ラトビアは2024年から米国又は欧州の価格と連動した契約期間10年のLNGを確保することを計画している。
ただラトビア政府は長期的には他のエネルギー源への切り替えも検討している。人口180万人の同国の今年1~9月期のガス消費量は前年同期から34%減少した。経済省のバランティス氏は、今後20年でベースロード電源をガスから原子力へ切り替えると話した。