自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)は7日、ドイツ北部のヴォルフスブルク本社工場に2025年初頭までに4億6,000万ユーロを投資すると発表した。同工場で電気自動車(BEV)専用車台ベースのモデルを生産する体制を整える。まずBEV車台「MEB」を用いたコンパクトカー「ID.3」を生産。中期的にはMEBに改良を加えた「MEB+」車台ベースのSUVも追加する方針だ。
ID.3はMEBを採用したVW初のBEVで、「ビートル」「ゴルフ」に続く歴史的に重要な戦略モデルと位置づけられている。20年に市場投入された。これまでは独ツヴィッカウ工場でのみ生産されてきた。
今後はヴォルフスブルク工場でも生産を行う。まずは23年に部分生産を開始。24年から全面生産へと移行し、25年末にはフル稼働体制に入る。
MEBはVW初のBEV専用車台。同社は満を持して投入したものの、最近は競合に比べ性能の低さが目立っている。メディア報道によると、特に韓国・現代自動車グループのBEV車台「E-GMP」に見劣りすることに経営陣は危機感を持っているという。
VWは次世代車台「SSP」の開発が遅れていることもあり、MEBの改良版であるMEB+を開発することにした。充電時間の短縮と航続距離の拡大を図る。また、25年に生産開始予定の次世代「統一セル」を搭載する。
同社は3月、ヴォルフスブルク市ヴァルメナウ地区に新工場を建設し、SSP車台初の量産車「トリニティ」を26年から生産する計画を打ち出した。だが、車載OSの開発が遅れていることから、実現は難しくなっており、同社は今回、新工場の建設を取りやめる可能性があることを明らかにした。ヴォルフスブルク本社工場での生産に変更することを視野に入れている。