2015/11/9

EU情報

難民受け入れがEU経済にプラス効果も、17年までに300万人流入見込む

この記事の要約

欧州委員会は5日公表した秋の経済見通しの中で、域内に押し寄せる難民がEU経済に及ぼす影響について初めて分析し、一部の国では受け入れに伴う費用がかさんで一時的に負担が増すものの、中期的には労働力不足が緩和されるなどプラス効 […]

欧州委員会は5日公表した秋の経済見通しの中で、域内に押し寄せる難民がEU経済に及ぼす影響について初めて分析し、一部の国では受け入れに伴う費用がかさんで一時的に負担が増すものの、中期的には労働力不足が緩和されるなどプラス効果が期待できるとの見方を示した。

国連の統計によると、年初からこれまでに欧州に流入した中東などからの難民や移民はおよそ74万4,000人に上る。欧州委は域内への難民が2017年までに300万人(15年は100万人、16年は150万人、17年は50万人)に達すると予測。加盟国が到着した難民の半数を受け入れ、そのうち4分の3が生産年齢にあると仮定した場合、EUの労働人口は15年に0.1%、16年と17年はそれぞれ0.3%増加するとしている。

また、難民が受け入れ国の市民と同等のスキルを持っていると仮定した場合、EUの域内総生産(GDP)は16年に0.21%、17年は0.26%押し上げられる一方、難民が十分なスキルを持たない場合は伸び率がそれぞれ0.14%、0.18年にとどまると分析している。

難民の急増が加盟国の財政に与える影響に関しては、難民が殺到している一部の国では認定手続きや国境管理の強化などに伴う追加的な費用がGDPの最大0.2%に上るものの、EU全体では16年と17年にそれぞれ0.04%程度にとどまり、大部分の加盟国にとって難民受け入れの影響は「限定的」とみている。

欧州委はさらに、最も多くの難民受け入れ国となるドイツについて経済への影響を個別に分析した。それによると、難民がドイツ国民と同水準のスキルを持っていると仮定した場合、GDPは16年に0.43%、17年は0.56%、20年には0.72%の押し上げが見込めるとしている。ただ、国民1人当たりのGDPは16年に0.6%減となり、20年でも0.3%減少するとみている。