2015/11/9

EU情報

欧州委が各国競争当局の権限強化へ、立ち入り調査時の情報収集など

この記事の要約

欧州委員会は4日、EU加盟国の競争当局の権限を強化する必要性について検討するための意見募集を開始した。EU競争法を効果的に執行するため、各国当局が必要な情報にアクセスして円滑に調査を行い、違反行為に対して妥当な罰則を科す […]

欧州委員会は4日、EU加盟国の競争当局の権限を強化する必要性について検討するための意見募集を開始した。EU競争法を効果的に執行するため、各国当局が必要な情報にアクセスして円滑に調査を行い、違反行為に対して妥当な罰則を科すことができるようにするのが狙い。欧州委は2016年2月16日まで各方面からコメントを受け付け、寄せられた意見を踏まえて現行法の改正など必要な措置を講じる。

EUでは2004年に競争法が改正され、競争法の執行手続きを定めた規則第1/2003号により、加盟国の競争当局や裁判所もカルテルなどの競争制限的行為や市場支配的地位の濫用について調査を行い、違反の有無を判断できるようになった。これによって欧州委の負担が大幅に減り、欧州委はEU全体の利益に関わるような重大な案件に集中して対処できるようになった。

ただ、欧州委が04年手続規則の施行から10年後の昨年まとめた報告書によると、各国当局が実際に行使できる権限には国によってばらつきがあり、より効果的な法執行に向けて改善すべき点が多いことも明らかになった。たとえばフランス、ドイツ、オーストリア、アイルランドなど8カ国では違法行為が疑われる企業への立ち入り調査に際し、パソコンや携帯端末、クラウド上に保存されたデータを証拠として押収することができない。また、ポーランドやチェコなどではカルテルに関与した企業に対して実行期間に見合った制裁金を科すことができない仕組みになっており、罰則が違反行為の抑止力になっていない。

欧州委は今回とくに、各国当局が◇競争法違反の調査に必要な情報にアクセスできるようにする◇カルテルを通報した企業に対して制裁を減免する「情状酌量プログラム」を効果的に運用できるようにする◇競争法の執行にあたって独立性を維持し、調査に必要な人員や予算を確保できるようにする――という3点に重点を置いて各方面に意見を求めている。

欧州委のヴェスタエアー委員(競争政策担当)は「過去10年以上にわたり、各国当局はEU競争法の執行にあたって重要な役割を演じてきた。欧州委と各国当局の協力のもとで以前より効率的に競争上のルールが適用されているが、なお改善の余地がある」と述べている。