フランスのトゥーレーヌ保健相は4日、30年以上にわたり禁止されてきた男性同性愛者による献血を認める方針を明らかにした。来春から同性との間で性交渉の経験のある男性も献血を行うことができるようになる。同措置により、献血者数はおよそ2万1,000人増えるとみられている。
フランスではエイズの拡大防止を目的として、1983年から男性同性愛者による献血が禁止されてきた。新制度では過去12カ月間に同性と性交渉を持っていないことを条件に、赤血球や血小板を含む全血献血が認められる。血漿(けっしょう)のみの献血については過去4カ月間に同性との性交渉がないか、パートナーが特定の1人のみであることが条件となる。
保険当局は規制緩和の影響を詳細に分析し、リスク拡大の兆候がみられなければ17年にさらに一段の緩和に踏み切る方針を示している。
トゥーレーヌ保健相は「献血は寛大な行為であり、市民としての責務でもある。献血者の性的志向によって制限されるべきではない」と強調。献血の種類によって最後に同性と性的関係を持ってから4カ月または12カ月の猶予期間を置く措置に対し、人権団体などからは「差別が残っている」との批判が出ているが、同相は英国やオランダなどでも同様のルールが導入されていると指摘。専門家による影響評価の結果次第で追加的な規制緩和の用意があると述べた。