2015/11/23

EU情報

欧州委が16年予算案の審査結果公表、伊など3カ国を問題視

この記事の要約

欧州委員会は17日、ユーロ参加国の2016年予算案の審査結果を公表した。EUの財政規律の「深刻な違反」はなかったとしながらも、イタリア、オーストリア、リトアニアの3カ国については違反の恐れがあるとして、予算案の見直しを勧 […]

欧州委員会は17日、ユーロ参加国の2016年予算案の審査結果を公表した。EUの財政規律の「深刻な違反」はなかったとしながらも、イタリア、オーストリア、リトアニアの3カ国については違反の恐れがあるとして、予算案の見直しを勧告。また、フランスは過剰赤字の是正が不十分と指摘した。

EUの財政規律では、加盟国は単年の財政赤字を国内総生産(GDP)比3%以内に抑えることなどを義務付けられている。問題視された3カ国のうちイタリアは、赤字はGDP比3%以下となる見通しだが、累積債務をGDP比60%以内に抑えることを求めるルールに違反する可能性があると指摘された。

すでに財政規律に違反し、過剰赤字是正手続きを発動されているフランスに関しては、16年の赤字をGDP比3.4%まで削減するという目標は達成できるものの、違反解消を期限の17年までに実現できない恐れがあるとして、赤字是正の強化を促した。ただ、欧州委のモスコビシ委員(経済金融問題・税制・関税担当)は、フランスはパリの同時多発テロを受けて、治安対策を大きく強化する必要に迫られており、関連支出による財政悪化はやむを得ないとして、一定の配慮を行う方針を示した。

EUはギリシャに端を発した債務危機の再発を防止するため、ユーロ参加国の財政監視強化策として、各国の予算案を欧州委が事前に審査する制度を2013年に開始した。ユーロ圏各国は次年度予算案を議会の承認に先立って毎年10月15日までに欧州委に提出し、審査を受けることが求められる。欧州委は予算案がEUの財政規律に反すると判断した場合、修正を勧告する。今回の審査は、債務危機でEUから金融支援を受け、財政規律とは別の枠組みで財政再建を求められているギリシャ、キプロスを除く19カ国が対象。また、ポルトガルは政治の空白で予算編成が遅れているため、期限内に16年予算案を提出できず、後日に審査を受けることになる。

スペインは12月20日に総選挙を控えているため、欧州委は10月に前倒しで予算案の審査を実施し、イタリアなど3カ国と同じく規律違反の恐れがあると指摘していた。

一方、欧州委は中東などから難民が大量に流入しているユーロ参加国に関しては、大きな財政負担が生じることを考慮し、財政規律を柔軟に運用する用意があることを明らかにした。