2015/11/23

EU情報

EUが集団的自衛権の行使を決定、仏の要請に応じ

この記事の要約

EUは17日、ブリュッセルで国防相理事会を開き、フランス政府が要請したEU条約に基づく集団的自衛権の行使を全会一致で承認した。EUが集団的自衛権の発動に踏み切るのは今回が初めて。過激派組織「イスラム国」(IS)の掃討に向 […]

EUは17日、ブリュッセルで国防相理事会を開き、フランス政府が要請したEU条約に基づく集団的自衛権の行使を全会一致で承認した。EUが集団的自衛権の発動に踏み切るのは今回が初めて。過激派組織「イスラム国」(IS)の掃討に向けて欧州の連帯をアピールする狙いがある。

EU条約第42条7項は加盟国が武力行使を受けた場合、「他の加盟国が集団的自衛権を行使し最大限の支援を実施しなければならない」と定めている。仏政府はパリ同時テロを同国に対する「戦争行為」と位置づけ、EUに対して集団的自衛権の行使を要請していた。

具体的な協力内容は今後、フランスと加盟国の二国間協議で個別に決めることになる。軍事同盟の北大西洋条約機構(NATO)とは異なるため、非軍事分野での協力も可能だが、フランスはパリ同時テロの報復としてISが拠点を置くシリア北部のラッカに対する空爆を実施するなど、シリアへの軍事介入を強化しており、同国で展開する軍事作戦への支援が中心になりそうだ。

対IS包囲網の強化に向けてNATOによる集団的自衛権の行使も焦点となっているが、フランスは現時点でNATOへの要請は行っていない。NATO加盟国のうちカナダのトルドー次期首相はISへの空爆作戦から撤退する方針を表明しており、NATOの決定は全会一致が原則であるため、仏政府はEUとの連携を前面に打ち出してロシアからも協力を得たい考えとみられる。

一方、欧州委員会は18日、銃器の取得や所持に関すルールを定めたEU指令の改正案を発表した。旧ソ連圏やバルカン諸国などから域内に違法銃器が大量に流入し、闇市場でテロ組織などが武器を調達している現状に対処するため、EU全体で規制を強化する。

欧州委は以前から銃器の所持規制を強化する方針を打ち出していたが、パリ同時テロを受けて緊急に具体策をまとめた。改正案はインターネットを介した銃取引の監視強化や、銃の流通状況を追跡しやすくする仕組みの導入などを柱とする内容。また、半自動小銃の一部はたとえ使用不能な状態であっても個人による所有が全面的に禁止される。さらに収集家に対する規制を強化し、銃の無可動化の基準を域内で統一して武器商人への転売を防止することなども盛り込まれている。