2015/11/23

EU情報

ハンガリー原発拡張事業めぐり法的手続き、露国営企業の指名を問題視

この記事の要約

欧州委員会は19日、ハンガリーが計画している原子力発電所の拡張事業をめぐり、競争入札を実施せずにロシアの国営企業と契約を結んだのは公共調達に関するEUルールに抵触するとして、ハンガリー政府に対する法的手続きを開始したこと […]

欧州委員会は19日、ハンガリーが計画している原子力発電所の拡張事業をめぐり、競争入札を実施せずにロシアの国営企業と契約を結んだのは公共調達に関するEUルールに抵触するとして、ハンガリー政府に対する法的手続きを開始したことを明らかにした。ハンガリー側は事前にバローゾ前欧州委員長から承認を得ていたと反論しているが、欧州委は2カ月以内に十分な回答が得られない場合、計画差し止めなどの厳しい措置を取る可能性がある。

問題となっているのはハンガリー唯一の原発で、首都ブダペストの南約100kmに位置するパクシュ原子力発電所。4基のロシア型加圧水型原子炉(VVER)が国内の総発電量の約40%を供給しているが、いずれも運転期間が満了しつつあるため、ハンガリー政府は新たに原子炉2基の建設を決定。昨年1月に行われたオルバン首相とプーチン露大統領の首脳会議で、露国営原子力企業ロスアトムが原子炉の増設工事を請け負い、ロシア側は建設費の過半を占める最大100億ユーロの借款を供与することで合意した。

欧州委はハンガリー政府が入札を実施せず、直接ロスアトムを指名した点を問題視している。ハンガリー側はこれに対し、同社と契約を結ぶ前の段階で欧州委に計画案を提出した際、バローゾ氏から書面で承諾を得ており、手続き上の問題はないと反論。ロスアトムへの発注はあくまでも商業的な観点からの判断で、EUがエネルギー分野での脱ロシア依存を掲げるなか、同国への接近を図る政治的な意図はないと説明している。

英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が入手したバローゾ氏からオルバン首相に宛てた昨年2月の書簡によると、欧州委はハンガリー政府の計画に対し、原発関連事業に関する国際的な契約について事前通知を義務づけた「欧州原子力共同体(Euratom)設立条約第103条の観点からは原則として異存はない」と表明。ただし、「公共調達や国家補助といった他のEUルールとの整合性についても検証する必要がある」と指摘している。