EUとベトナムは2日、ブリュッセルで自由貿易協定(FTA)の合意文書に署名した。EU加盟国の正式承認と欧州議会およびベトナム国会での批准手続きを経て、2018年の発効を目指す。
EUにとってベトナムは、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国でシンガポールに次ぐ2カ国目のFTAパートナーとなる。EUとベトナムは12年10月にFTA交渉を開始し、今年8月に双方が99%以上の品目で段階的に関税を撤廃することを柱とする協定案で大筋合意。その後、投資家保護に関する条項などをめぐって最終的な調整が続いていた。
EUはベトナムにとって中国に次ぐ貿易相手で、ベトナムからEUへの輸出は衣料品、靴、コメ、水産品、コーヒーなどが中心。一方、EUからは自動車、電気機器、医薬品などが輸出されている。EU・ベトナム間の貿易総額は2014年に約280億ユーロに達し、過去10年間でおよそ3倍に拡大した。
欧州委員会のマルムストロム委員(通商担当)は声明で「(ベトナムとのFTAが)途上国に対する通商政策の新たなモデルになる」と強調。協定が発効すればベトナムの経済成長がさらに加速し、EUにとっても「中間層と若い労働力が急拡大している人口9,000万人超の活気にあふれた経済圏にアクセスしやすくなる」と指摘した。