EU離脱の是非を問う国民投票の実施を予定している英国のキャメロン首相は、残留の条件として求めているEUの制度改革をめぐる協議の年内の妥結を断念した。首相府が3日明らかにした。
英国では同国民投票が2017年末までに実施されることになっている。残留を望むキャメロン首相は、事実上の移民制限といった制度改革をEUに認めさせることで、国内の反EU勢力を懐柔した上で国民投票に臨む戦略を描いており、11月に移民に対する社会保障給付の制限、移民制限、加盟国の議会の権限を強化など4項目の要求を公表。12月17~18日のEU首脳会議で承認を取り付ける方針を示していた。
しかし、英国の要求にはEU基本条約の改定が必要となる抜本的な改革が含まれており、移民制限には中東欧諸国が猛反発していることから、早期の合意は困難な情勢。英首相府によると、キャメロン首相は3日に行った独メルケル首相との首脳会談で、同問題を一気に決着させるのは難しいとして、今月の首脳会議での合意は不可能との見解を表明。同首脳会議を合意の地ならしの場と位置付け、突っ込んだ協議を行いたい考えを示したという。
国民投票はEU制度改革の合意を取り付けてから、少なくとも4カ月の“告知期間”を設けてから実施されることになっている。次回のEU首脳会議は16年2月に開催されるため、この場で合意に至ったとしても、投票実施は早くても来年6月になる。