欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/6/2

EUその他

ハチソンのO2アイルランド買収、欧州委が条件付きで承認

この記事の要約

欧州委員会は5月28日、香港の有力コングロマリット(複合企業)、ハチソン・ワンポアがスペイン通信最大手テレフォニカのアイルランド携帯電話サービス部門「O2アイルランド」を買収する計画を承認したと発表した。欧州委は競争上の […]

欧州委員会は5月28日、香港の有力コングロマリット(複合企業)、ハチソン・ワンポアがスペイン通信最大手テレフォニカのアイルランド携帯電話サービス部門「O2アイルランド」を買収する計画を承認したと発表した。欧州委は競争上の問題から同買収に難色を示していたが、ハチソンが周波数帯の一部を新規参入事業者に譲渡するといった対応策を提示したことから、その実施を条件に認可した。

ハチソンは昨年6月、傘下のアイルランド携帯電話サービス2位「ハチソン3G(H3G)」を通じて、同4位のO2アイルランドを最大8億5,000万ユーロで買収することで合意した。これによってH3Gはシェア(買収合意時)が37.5%に拡大し、最大手ボーダフォンの39.4%に肉薄する。

10月に同買収の可否に関する審査を開始した欧州委は、両社が合併するとアイルランドで自前の通信網を持つ大手の携帯電話サービス事業者が4社から3社に減って寡占が強まり、新規参入が難しくなるとして難色を示し、1月に異議告知書を送付していた。

ハチソンが買収認可に向けて提案した是正策は、◇自前の回線を持たない仮想移動体通信事業者(MVNO)の参入障壁を低くするため、保有する周波数帯の最大30%を将来に参入する2社が固定料金で利用できるようにする◇同2社のうち1社がMVNOから脱皮する場合、保有する900メガヘルツ(MHz)、1800 MHz、2100 MHzの帯域のうち5ブロックを譲渡する◇H3GとO2アイルランドの合併によって大手で最下位となるエアコムが厳しい状況に追い込まれるのを防ぐため、O2アイルランドと同社が結んでいる通信ネットワーク共有契約を継続する――という内容。欧州委は同措置によって競争上の問題は解消するとして、買収認可に踏み切った。