欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/6/2

西欧

ファイザー、アストラゼネカ買収を断念

この記事の要約

米製薬最大手ファイザーは5月26日、英同業アストラゼネカの買収を断念すると発表した。買収提案を拒否するアストラゼネカに対して、2度にわたって買収額を引き上げて受け入れを迫ったが、提案期限である同日までに同社の同意を取り付 […]

米製薬最大手ファイザーは5月26日、英同業アストラゼネカの買収を断念すると発表した。買収提案を拒否するアストラゼネカに対して、2度にわたって買収額を引き上げて受け入れを迫ったが、提案期限である同日までに同社の同意を取り付けることができなかったことから、提案を撤回した。

ファイザーは4月、アストラゼネカに総額588億ポンド(約689億ユーロ)での買収を提案したが、買収額が低すぎるとして拒否された。これを受けて今月2日に買収額を631億ポンドに増額。18日には最終提案として、約693億ポンドまで引き上げたが、アストラゼネカは拒否を貫いていた。

ファイザーは最終提案が受け入れられない場合、新たな提案を行わず、敵対的買収も避ける方針を打ち出していた。26日までにアストラゼネカの拒否姿勢が変わらなかったことから、買収断念に追い込まれた。

同社は昨年、特許が切れた新薬の販売がジェネリック薬(後発薬)の攻勢で落ち込んだため、製薬世界最大手の座をスイスのノバルティスに譲った。グラクソスミスクライン(GSK)に次ぐ英2位アストラゼネカの買収によって、1位返り咲きを目指したが、実現しなかった。

ファイザーはアストラゼネカの株主が経営陣に買収受け入れを迫り、風向きが変わることを期待しており、新たな買収案を提示する可能性も取りざたされている。ただ、英国の法令によって、今後6カ月は新たな買収提案を行うことはできない。